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ホーム全日病ニュース(2023年)第1041回/2023年10月1日号新型コロナの病床確保料の過大交付額が500億円超

新型コロナの病床確保料の過大交付額が500億円超

新型コロナの病床確保料の過大交付額が500億円超

【厚労省】患者の退院日の解釈の違いが過大交付の理由の大半

 厚生労働省は9月8日、新型コロナ対応における政府から病院への補助金である新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)の病床確保料の過大交付額を公表した。会計検査院の指摘を踏まえたもので、過大交付額は2020年度と2021年度の2年間で500億円超となっている。すでに一部の都道府県では、医療機関からの返還が完了している。厚労省は、返還が未了である医療機関からの返還作業を速やかに進めることを都道府県に依頼している。
 政府は、新型コロナの感染拡大に対応するため、病床確保料を設定している。病床確保料の対象には、新型コロナに感染した患者の入院を即時に受け入れる即応病床のための空床(即応病床)と、即応病床のために休止する空床(休止病床)がある。補助条件額は、例えば、重点医療機関の場合、ICUなどでは特定機能病院等で1日43万6千円、一般病院で1日30万1千円、重点医療機関以外の一般病院では9万7千円であった。なお、新型コロナの感染症法上の位置づけが2類相当から5類になったことにより、5月8日から病床確保料は、それまでの金額が概ね半額となっている。
 過大交付の原因は主に3つであると分析されている。
 1つ目は、患者が入院期間中は診療報酬が支払われるため病床確保料は交付対象外であるにもかかわらず、患者の退院日の取扱いについて、国と都道府県ごとに解釈が異なっていたというもので、過大交付件数の95%を占めるという。
 2020年度の過大交付額は、全体の1兆1,420億円のうち、225億円で2.0%(630医療機関)程度となっている。最も多いのは神奈川県の96億円で、次いで東京都の48億円、沖縄県の16億円、北海道の12億円となっている。
 2021年度の過大交付額は、全体の1兆9,053億円のうち、280億円で1.5%(901医療機関)程度となっている。最も多いのが東京都の71億円で、次いで沖縄県の36億円、神奈川県の35億円、埼玉県の29億円となっている。
 2つ目は、医療機関が都道府県に交付申請する病床に対して適用する補助上限額を誤ったというもの。2021年度の三重県のケースで、重点医療機関(一般病院)がHCU 病床(1日21万1千円)で申請したが、実際はその他病床(1日7万1千円)であった。5施設の医療機関で誤りがあり、過大交付額は1,595万円となっている。
 3つ目は、即時に受入れできない病床に交付していたもので、金額は示されていない。
 厚労省は9月8日付けの事務連絡で都道府県に対し、返還見込額が特に大きい医療機関や、他の医療機関に比べて病床使用率が著しく低い医療機関など、特に都道府県が必要と認める医療機関に対する現地調査の実施の検討も求めている。また、厚労省としても、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」第15条に基づく都道府県への現地調査を検討している。

 

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