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ホーム全日病ニュース(2023年)第1041回/2023年10月1日号中間とりまとめにおけるDPC/PDPSと外来医療の内容

中間とりまとめにおけるDPC/PDPSと外来医療の内容

中間とりまとめにおけるDPC/PDPSと外来医療の内容

 入院・外来医療等の調査・評価分科会の中間とりまとめについて、DPC/PDPSと外来の概要を報告する。DPC/PDPSについては、機能評価係数Ⅱの各係数の課題が示されたほか、DPC対象病院の退出基準の設定に向けた検討が行われた。外来では、かかりつけ医機能や外来腫瘍化学療法、オンライン診療などがテーマとなった。
 DPC対象病院については、2018年度診療報酬改定に向けた議論で、診療密度や在院日数が平均から外れている病院はDPC対象病院になじまない可能性があるとの指摘があった。その後、医療資源投入量や在院日数を指標とした分析や、外れ値に該当する病院に対するヒアリングを実施するなど、DPC対象病院の退出基準を設けることを模索する検討が続けられた。
 しかし、退出基準を設けるところまで議論は進まなかった。今回もそのような観点でのデータ分析があった。
 同分科会でのデータ分析では、急性期一般入院基本料の届出を行う医療機関全体と比べても、患者数が少ないDPC対象病院があることがわかった。データ数が少ないDPC対象病院は、複雑性係数の値が高い傾向があり、データ数が1月当たり90以下の病院では、診療密度(相対値)が低い傾向にあった。
 これらの点を踏まえ、急性期医療の標準化というDPC制度の趣旨を踏まえ、DPC対象病院の要件とその評価のあり方の両面から検討する必要が指摘された。DPC対象病院の提出基準を設けるべきとの意見は、全日病会長の猪口雄二委員も含め複数の委員から出ており、中医協総会での今後の議論が注目される。
 医療機関別係数の機能評価係数Ⅱについてそれぞれの課題が示された。
 実態調査によると、2023年度の保険診療係数の減点対象となった病院は、「部位不明・詳細不明コード」の使用割合(10%未満)で23病院(1.3%)、様式間の記載矛盾(1%未満)で4病院(0.2%)、未コード化傷病名の割合(2%未満)で6病院(0.3%)。各項目の基準を満たさないDPC対象病院はわずかであることから、「適切なデータの作成に係る基準をDPC対象病院の要件とすることも考えられる」との指摘があった。
 効率性係数は在院日数短縮の努力を評価する係数だが、「診療対象とする診断群分類の種類が少なく、症例構成が偏っている医療機関」に対しては、現状の算出方法だと、本来の趣旨にそぐわない評価になっているという指摘があった。
 複雑性係数についても、「診療対象とする診断群分類の種類が少ない病院で、誤嚥性肺炎等の平均在院日数が長く、1日当たり包括範囲出来高点数の小さい疾患に偏った症例構成の場合」に、複雑性係数が高くなり、急性期入院など医療における評価という点で「不適当」との指摘があった。
 救急医療係数については、高度な救急医療の実施や救急車の受入れ数を必ずしも直接評価する項目でないことから、評価の趣旨が明確になるよう、名称変更を含めた見直しを求める意見が出された。
 地域医療係数については、大学病院本院群やDPC特定病院群において、ほとんどの病院で上限値を満たしている項目があることから、評価項目や実績評価の手法の検討が求められた。また、社会や地域の実情に応じて求められている機能の評価という観点からの、新たな評価の検討も行われている。
 点数設定方式については、2022年度に点数設定方式Aで設定された診断群分類のうち、入院期間Ⅰで医療資源投入量が設定点数を大きく上回る例が存在することが明らかになった。このため、入院初期に患者を退院させた場合であっても、コスト回収ができるように見直すべきではないかとの指摘があった。また、標準的・定型的な経過をたどれば早期退院できるような診断群分類については、入院期間Ⅱより早期に退院させた場合であっても、十分な評価ができるように検討すべきとの指摘があった。

オンライン診療は不眠症が多い
 外来医療のかかりつけ医機能等については、特定疾患療養管理料などの位置づけが検討対象となった。高血圧、糖尿病、脂質異常症のいずれでも、再診患者のかなり多くに外来管理加算や特定疾患療養管理料が算定されている一方で、地域包括診療料・加算、生活習慣病管理料の算定が極めて少ないことが問題視され、「医学管理の質の観点で、どのような診療報酬が相応しいのか」の検討が必要との指摘があった。
 2024年度診療報酬改定で新設した外来腫瘍化学療法診療料については、従来の外来化学療法加算1を算定していた医療機関の9割以上が外来腫瘍化学療法診療料1に移行しているが、外来化学療法加算2を算定していた医療機関の外来腫瘍化学療法診療料2への移行は3割台にとどまっている。
 外来腫瘍化学療法診療料を届け出ている病院で、「化学療法を実施した実患者数」のうち、「1サイクルも外来で化学療法を行わずに、すべて入院で化学療法を実施した実患者数」の割合の中央値は23.2%であった。診療科によって、外来・入院化学療法の患者数には違いがあり、「小児科では外来で実施できるレジメン数の割合が少ない」という傾向があることもわかった。
 外来腫瘍化学療法をさらに推進する観点から、緊急時に速やかに入院できる体制確保のため、他の医療機関との連携なども課題とされた。
 情報通信機器を用いた診療については、2024年度改定から初診からのオンライン診療が一定の条件の下で可能となっている。オンライン診療の実施医療機関には偏りがあり、2022年10月の実態調査では、大半の施設では実績がなく、初診料では6施設(全体の2.4%)、再診料・外来診療料では23施設(同9.3%)で15回を超える算定の実績があった。
 オンライン診療の初診、再診料・外来診療料の傷病名を分析すると、いずれにおいても「COVID-19」が最多であった。さらに、対面診療の割合が5割未満の医療機関のオンライン診療の初診、再診料・外来診療料の傷病名を分析すると、初診の傷病名は「COVID-19」が37.9%で最多であるものの、再診料・外来診療料では不眠症が39.7%で最多であった。不眠症の診療の実態をさらに分析すべきとの指摘が出た。

 

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