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ホーム全日病ニュース(2023年)第1042回/2023年10月15日号コロナ補助金除くと病院は2020年度も2021年度も赤字

コロナ補助金除くと病院は2020年度も2021年度も赤字

コロナ補助金除くと病院は2020年度も2021年度も赤字

【日医会見】財務省の財政制度等審議会に示された数字に猪口全日病会長が反論

 全日病の猪口雄二会長(日本医師会副会長)は9月29日の日本医師会の会見で、病院の経営状況について説明した。財務省が財政制度等審議会の資料で、全日病・日本病院会・日本医療法人協会の3病院団体の病院経営定期調査を引用し、病院の経常利益率が改善していることを示したことに対し、数字の選び方が一面的であると反論した。会見には、病院団体から、日本医療法人協会の太田圭洋副会長や日本精神科病院協会の野木渡副会長も参加。物価高騰に対応し医療従事者の処遇改善の期待に応えるため、それに相応しい診療報酬改定の必要性を訴えた。
 財務省が引用したのは、3病院団体の病院経営定期調査によるコロナ前後の病院の経常利益率で、コロナの感染拡大前の2019年度の経常利益率がマイナス0.6%であったのに対し、2020年度は3.7%、2021年度は7.5% に改善。これに着目した日刊紙の記事では、財務状況が好転し「黒字へ急回復」という表現が用いられた。
 しかし、この3.7%、7.5%という数字はコロナ補助金を含んだもので、コロナ補助金を除くとマイナスに転落し、マイナス4.0%、マイナス2.0%となる。しかも、コロナ補助金は医療機関に等しく交付されたわけではない。猪口会長は、「コロナ病床を確保した重点医療機関など急性期の大病院には多くの補助金が入ったといえるかもしれないが、回復期や慢性期を担う中小病院では少ない。コロナ補助金を除いた経常利益がマイナスの病院は、2020年度で65.9%、2021年度で55.9%と半数を超える」と説明した。
 また、直近のデータをみると、2022年4〜6月の1病院当たり平均の経常利益率は、コロナ補助金を含めても、マイナス5.0%、2023年はマイナス5.9%に落ち込んでいる。猪口会長は、医業費用について給与費がわずかに上がり、水道光熱費が上がっているなど経費が増加していると説明した。
 病床確保料などコロナ補助金や診療報酬の特例は、2023年5月8日から大幅に減額となった。10月以降は、さらに減額となり、病床確保料が交付される条件が非常に厳しくなった。コロナ対応の補助金や診療報酬の特例は、来年度には解消される見込みである。コロナ補助金など政府の支援により、医療機関によってはコロナ禍の経営は改善したが、今後の見通しは厳しい。

 

全日病ニュース2023年10月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 2021.9.15 No.994

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2021/210915.pdf

    2021/09/15 ... 新型コロナの感染拡大では、新型コ. ロナ患者が多くの医療資源を使うよう. になり、一般病床を新型コロナ病床 ... コロナ禍での病院経営~持続可能への ...

  • [2] 2022 年度 病院経営定期調査 -集計結果(概要)-

    https://www.ajha.or.jp/topics/4byou/pdf/221214_2.pdf

    2022/12/02 ... ただし、コロナ禍の影響が大きく真の病院経営の実態が分かり難い結果と ... 療養・ケアミックス :療養病床 80%以上、または一般病床+療養病床が 80%以上.

  • [3] Untitled

    https://www.ajha.or.jp/topics/4byou/pdf/201210_1.pdf

    2020/12/09 ... 現在、さまざまな入院料の病棟で新型コロナウイルス感染症患者の入院加療が行わ ... 5.医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援の更なる評価. コロナ禍 ...

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