全日病ニュース

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薬剤自己負担見直しが議論の俎上に

薬剤自己負担見直しが議論の俎上に

【社保審・医療保険部会】後発品と長期収載品の薬価差を踏まえた自己負担に賛否

 社会保障審議会の医療保険部会(田辺国昭部会長)は9月29日、薬剤自己負担の見直しを議論した。高額薬剤が相次ぎ登場し、医療保険財政への影響が懸念されている中で、保険給付の重点化を図るべきといった議論がある。厚生労働省は今回、骨太方針2023や有識者検討会の報告を踏まえ、薬剤自己負担の見直しに関して4つの案を提示。委員の意見を求めた。
 4つの案は、①薬剤定額一部負担②薬剤の種類に応じた自己負担の設定③市販品類似の医薬品の保険給付のあり方の見直し④長期収載品の自己負担のあり方の見直し。骨太方針2023には、「イノベーションを推進するため、長期収載品等の自己負担のあり方の見直し」の検討が明記されており、特に、長期収載品の自己負担のあり方に対して、賛否があった。
 薬剤定額一部負担は、いわゆる「ワンコイン負担」で、外来診療や薬剤支給時に薬局窓口で定額負担を求める。薬剤の種類に応じた自己負担の設定は、有効性などに基づき薬剤を分類し、カテゴリ別に自己負担割合を設定する。
 市販品類似の医薬品の保険給付のあり方の見直しは、OTC医薬品に類似品がある医療用医薬品について、保険給付範囲からの除外や償還率の変更、定額負担の導入などを行う。長期収載品の自己負担のあり方の見直しは、長期収載品のさまざまな使用実態に応じた評価を行う観点や、後発品との薬価差を踏まえつつ、自己負担を見直す。
 全日病会長(日本医師会副会長)の猪口雄二委員は、「薬剤自己負担見直しの案は、いずれも患者の自己負担増となる。闇雲に負担増を求めるのではなく、医療上必要なものは保険適用するという公的医療保険制度の原則に立ち戻って考えるべきだ。また、今は後発医薬品の安定供給が最優先の課題である。こうした観点から、相当に精緻な検討が必要になる」と慎重な議論を求めた。
 訪問看護や訪問診療のオンライン資格確認の説明も行われた。
 訪問看護ステーションのオンライン請求とオンライン資格確認は2024年6月に始まる。2024年秋の保険証廃止を見据えつつ、オンライン請求・オンライン資格確認は原則義務化される。医療機関と同じく、訪問看護ステーションにも財政支援を行うとしており、上限42.9万円の実費補助の案が示された。猪口委員は、「訪問看護ではモバイル端末の導入も求められている。小規模事業者が多いため、医療機関以上にコスト捻出やスタッフの確保が難しい状況が続いている」と述べた。
 2024年4月開始の訪問診療等における居宅同意取得型のオンライン資格確認の仕組みでは、初回訪問時のオンライン資格確認や薬剤情報等の提供に関する同意は、医療関係者が持参するモバイル端末等で行う。2回目以降は、医療機関等の再照会機能を活用する。
 猪口委員は「使いやすい環境を整えることが重要だ。通常のオンライン資格確認より多くの手順が必要になるので、わかりやすい手順書やトラブルの際の対応マニュアルの整備など、きめ細かい対応をお願いする」と述べた。

 

全日病ニュース2023年10月15日号 HTML版

 

 

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  • [3] 2021.10.1 No.995

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