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ホーム全日病ニュース(2023年)第1044回/2023年11月15日号物価高騰・賃金改善に対応できる報酬改定の水準を求める

物価高騰・賃金改善に対応できる報酬改定の水準を求める

物価高騰・賃金改善に対応できる報酬改定の水準を求める

【社会保障審議会・医療保険部会・医療部会】2024年度診療報酬改定の基本方針めぐり議論

 厚生労働省は2024年度診療報酬改定の基本方針策定に向け、「基本認識、基本的視点、具体的方向性」の案を10月27日の社会保障審議会・医療保険部会(田辺国昭部会長)と11月1日の同審議会・医療部会(遠藤久夫部会長)に提示した。財務省がマイナス改定を主張し、保険者側も厳しい姿勢で臨んでいる中で、全日病の猪口雄二会長や神野正博副会長が、物価高騰・賃金改善に対応できる診療報酬改定の水準の必要性を訴えた。
 厚労省は2024年度改定の基本的視点として、視点1「現下の雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」、視点2「ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進」、視点3「安心・安全で質の高い医療の推進」、視点4「効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上」を提示。このうち、視点1を重点課題とした。
 これに対し、日本医師会副会長として出席している全日病会長の猪口委員は、視点1を重点課題とすることに賛成を表明。「とにかく2024年度診療報酬改定では、従来の改定に加えて、物価上昇・賃金上昇を十分に反映させるものであってほしい」と述べた。
 一方、視点2の「医療機能の分化・強化、連携の推進」の具体的な方向性では、「増加する高齢者急性期医療のニーズや地域医療構想等を踏まえた、患者の状態に応じた適切な医療資源を効率的に提供するための機能分化の推進」が示されている。これに対して、「患者の状態に即した病床の選択や、急性期が落ち着いた後に後方転送することの評価も必要ではないか」と評価の充実を提案した。
 神野委員は、「今まさに産業間で人材の取り合いになっている。医療機関が人材を確保するため、例えば、人件費を3%上げるのに必要な改定率は2.19%に相当する」と指摘。その上で、「物価高騰・賃上げにより税・保険料収入が増加している中で、地域経済を好循環で回すには、診療報酬を引き上げて医療従事者等の賃金に反映させることが必要」と主張した。
 また、物価高騰に対応できる診療報酬にするため、物価上昇分を調整する機能を組み込むことを提案した。
 保険者側の意見では、医療部会で健康保険組合連合会専務理事の河本滋史委員が、「これまでデフレ下でも高齢化等による伸びが許容され、診療報酬本体は引き上げられてきた。その結果、1日あたり医療費が増えている。足元の状況でも医療費は増加しており、団塊の世代が75歳となり今後とも医療費の高騰が続くのは間違いない」と主張。「視点4の『効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上』を重点課題にすべき」とした。

 

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