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総合経済対策を閣議決定

【政府】医療機関への支援策も盛り込む

　政府は11月２日、総合経済対策を閣議決定した。2023年度補正予算として13.1兆円を計上したほか、定額減税による「還元策」とその関連経費を含めると17兆円台前半の規模となる。医療については、エネルギー価格高騰や医療DXなどに関連して、対応策を盛り込んだ。補助金だけでなく、政策効果を高めるための、制度的対応もあわせて講じる。ただ、医療については、特に財源問題で、2024年度診療報酬改定との関係があり、今後の検討に委ねている項目も少なくない。
　医療機関に対するエネルギー価格などへの対応については、地方創生臨時交付金のうち、2023年３月に措置した地方公共団体の「重点支援地方交付金」が、引き続き活用できるよう同交付金の追加を行う。執行にあたっては、「物価高対策として、特に必要かつ効果的であって、広く実施されることが期待される事業について、優良な活用事例をはじめ必要な情報を積極的に提供し、これらの分野における重点的な活用を推奨する」とともに、活用状況の定期的できめ細かなフォローアップを求めている。
　その際、「入院時の食費の基準が、長年据え置かれ、介護保険とも差が生じていることを踏まえ、診療報酬の見直しに向けた検討を行うこととあわせ、それまでの間、早急かつ確実に支援を行う」とした。具体的には、2023年度中は、重点支援地方交付金により対応し、2024年度は、地域医療介護総合確保基金による対応を念頭に、診療報酬の見直しと合わせ、2024年度予算編成過程において検討するとしている。
　賃上げ対策も、今回の総合経済対策の柱の一つ。医療に関しては、「医療・介護・障害福祉分野においては、2024年度の医療・介護・障害福祉サービス等報酬の同時改定での対応を見据えつつ、喫緊の課題に対応するため、人材確保に向けて賃上げに必要な財政措置を早急に講ずる」との文言になっている。看護補助者の処遇改善を行うための事業や病院での確保・定着を図るための取組みを支援する事業が補正予算に盛り込まれる。
　日本経済の成長力を強化するための国内投資の促進では、医療DXをはじめ、幅広い施策を盛り込んだ。
　医療機器に関して、プログラム医療機器の市場の拡大を見込み、診療報酬の見直しや二段階承認の考え方の明確化、広告規制の緩和などを2023年度中に行う。ドラッグロスの解消を含めた創薬力の強化に向けて、「海外のエコシステムとの連携を図る医療系スタートアップの支援」という項目もある。
　デジタル行政改革では、「標準型電子カルテα版の開発」、「医療費助成・予防接種・母子保健等に係る情報連携システム基盤の構築事業」、「医療機関等でのマイナンバーカードの利活用推進事業」が並んだ。
　医療DXについては、まず医療従事者の事務負担などを軽減するための、診療報酬の算定に関するシステムの開発をはじめとした診療報酬改定DXの推進がある。ICT技術の活用と、それによる生産性向上の結果を診療報酬・介護報酬制度へ反映することが重要と強調している。
　2024年度診療報酬・介護報酬改定で、「常勤または専任の医療・介護従事者の配置要件等の見直しについて、医療及び介護の質の担保を前提に、柔軟な働き方を推進する方向で検討し、2023年度中に所要の措置を講ずる。あわせて、報酬改定も見据え、ICT機器等の導入を通じた生産性向上が促されるよう検討の上、2023年度中に所要の措置を講ずる」との方針も示した。
　人材不足への対応では、「2024年度の医療・介護・障害福祉サービス等報酬の同時改定での対応を見据えつつ、喫緊の課題に対応するため、人材確保に向けて賃上げに必要な財政措置を早急に講じる」ことを明記している。
　そのほかの項目では、認知症施策の推進や防災・減災対策、新興感染症対応などに関する記述がある。