全日病ニュース

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Web3.0時代の病院

続報・全日本病院学会 in 広島
Web3.0時代の病院

【学会企画1】バーチャルホスピタルを紹介

右から大田氏、長氏、服部氏、小林氏

 学会企画1として、「Web3.0時代の病院―リアルvs デジタルを超えて」のテーマで3人の演者が議論した。座長の大田章子氏(社会医療法人祥和会研究員)は、企画趣旨について「もはや医療DXは必然で、リアルがよいかデジタルがよいかという二項対立の時代ではない。医療にDXは積極的に取り組んでいく必要がある」と説明した。
 座長の東日本税理士法人所長の長英一郎氏は講演で、ChatGPTなどの生成AIを活用した実践的な事例を紹介した。
 ChatGPTは情報収集・内容の短縮にはもう十分に利用できると指摘。勤務表の作成には部分的に利用可能とし、「医師の当直表レベルなら問題なく作れるが、看護師の勤務表は無理」。文章の校正にもある程度は使える。ChatGPTが今後、進化すればさらに医療現場での活用の場面は広がるとの予測を示した。
 Google社が医療機関向けに提供している生成AI のMed-PaLMについて、「米国の医師免許試験を通過できるレベル。活用すれば医療のやり方が変わってくるのではないか」と述べた。
 順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経内科教授・医学部長の服部信孝氏は、メタバースを活用した順天堂大学病院のバーチャルホスピタル構想を紹介した。順天堂医院をオンライン空間で再現したバーチャルホスピタルを起点にし、さまざまなサービスを提供。例えば、患者がリアルの病院で受ける治療を動画で予習したり、外出が困難な入院患者が病院外で家族・友人と交流できるオンライン空間を提供している。服部氏は、バーチャルホスピタルにより、①患者の満足度の向上と医療従事者の働き方改革②医療の質の向上、新たな治療法の確立③新たな市場の創出―を柱としてこれまでにない新たな価値を提供していくとした。
 衆議院議員の小林史明氏は、医療DX政策を解説した。国民健康保険の改革にも言及。「国保は、国が一括してサービスを提供すればよい。問い合わせ窓口を全国1か所にし、ChatGPTを活用すればよいのではないか」と述べ、政府のデジタル行財政改革会議で国保改革が議論されるとの見通しを示した。

 

全日病ニュース2023年11月15日号 HTML版

 

 

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