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ホーム全日病ニュース(2024年)第1050回/2024年3月1日号コマンドセンターシステムを自作した事例を紹介

コマンドセンターシステムを自作した事例を紹介

コマンドセンターシステムを自作した事例を紹介

【医療DX人材育成プログラム⑩】
来期講座では人材育成に重点置く
高橋泰 国際医療福祉大学教授、全日病広報委員会特別委員

 院内のDX化が適切に推進できる院内人材を養成する目的で、全日本病院協会は、広報委員会を担当委員会とし、日本医療教育財団、介護・医療見える化・効率化協会と共同共催で、「2023年度医療DX人材育成プログラム(全10回)」を開講した。今回は、第10回目の講習会の内容と来期の講習会の紹介を行う。
 第10回講習会が、11月30日(木)13時〜16時にZoomで開催され、136病院、312人が参加した。
 前半は、札幌白石記念病院経営企画部長の笹森大輔氏が、病院が適切に運営されるためにシステムを自作した経験を語った。
 白石記念病院は、2022年の診療報酬改定を契機に、急性期一般病棟から回復期リハビリテーション病棟入院料5に病床機能を変更した。この変更に対応するために笹森氏が中心となりコマンドセンターを自作し、ベッドコントロール会議でFIMや在院日数などのリアルタイムデータを分析・可視化することに活用し、最短の6か月間で回復期リハビリテーション病棟入院料1になった。
 目標達成のために必要な指標選定やデータの保管場所の探索方法、アプリの開発方法などについて、具体的に説明を行った。
 講義の後半は、小林土巳宏氏がケーススタディを用いて「自院におけるDXをどう進めるか(応用)」という講義を行った。
 医療DXの先進事例として「ケース1:電子署名システム」、「ケース2:薬剤自動ピッキング装置」、「ケース3:医療用QRコードの導入の手順と各プロセスの要点」を解説した。
 次に組織改編の事例として電子カルテの導入を題材に、戦略の立て方や、経営陣、スタッフ、ベンダーに対する働きかけ方などを具体的に解説した。
 最後に筆者が、今回の講座の総括としてWEB技術の概要と病院に取り入れた場合の利点の話を行い、今回の講座を踏まえた来期の講座の目的を話した。
 来期の講座では、院内DXを推進するために必要な「人材」の養成に更に力点をおいて進める。
 図1は、DXを推進するために必要な「経営者」、「コンダクター」、「プロダクター」、「現場リーダー」という役回りを担う人材と、その業務内容を示す。DXの導入による組織の生産性向上の取り組みは、経営者が院内の業務内容とシステム(特にWeb技術)を知り、新スキームをデザインできる「コンダクター」を任命することから始まる。
 新スキーム作成は、コンダクターを中心とするチームが、現場でのヒアリングを行い業務の課題を発見しながら旧スキームの業務分析を行い、DXを導入した場合の業務の流れを想定し、その効果のシミュレーションを行う。それらの結果を踏まえ、新しい仕事の手順とやり方を示す「新スキーム」を作成する。
 経営者が新スキームを承認すると、生産性向上に向けたWebアプリを作成or購入が始まる。院内で作成する場合はコンダクターがプロダクターに「このようなアプリを開発してほしい」という作成依頼を行い、両者の間で協議を重ねながらアプリが作成される。
 新しい働き方を行えるよう一人ひとりの職員を指導するのが、「現場リーダー」の役割である。仕事のやり方が適切に変わることとWebアプリが噛み合い、生産性が初めて向上する。
 必要に応じてアプリの変更を依頼するなど新スキームの修正や維持も、コンダクターの大切な役割である。
 表1で、院内DX推進で必要な役回りを担う人材が知っておくべき知識や素養を示す。来期の全日病の医療DXの講座では、院内DX推進の要であるコンダクターに必要な知識や素養の学習に重点を置く。
 アプリのより深い理解とプロダクターとの話し合いを行うために必要なWeb関連の知識、コンダクターの仕事の根幹であるスキームの作成や維持に関する知識、現場の働き方を変えるために必要な知識や素養、経営者が目指すところをより深く理解するための経営に関する知識などを、体系的に講義を行う予定である。


図1:DX(Webアプリ)を導入して組織の生産性を向上させるときの組織の動き


表1:院内DX推進に必要な知識や素養

 

全日病ニュース2024年3月1日号 HTML版

 

 

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