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ホーム全日病ニュース第799回/2013年4月15日号医薬品と投薬等診療情報のデータ...

医薬品と投薬等診療情報の大規模データベースを構築

医薬品と投薬等診療情報の大規模データベースを構築

【医療情報データベース基盤整備事業】
13年度にデータ利用試行を開始。1千万人規模のデータ蓄積を目指す

 

 厚生労働省に「医療情報データベース基盤整備事業推進検討会」が設置され、4月5日に初会合が開かれた。検討会は、2013年度から3ヵ年にわたる試行が決まっている医療情報DB基盤整備事業の推進に必要な課題を検討する。
 医療情報DB基盤整備事業とは、副作用等薬害発生防止を目的として、医薬品と投薬等診療情報の大規模なデータベースを構築する事業をいう。
 副作用に関しては、現在、医薬品医療機器総合機構(PMDA)において、患者がオンラインで報告できる仕組みが試行されている。
 しかし、この方法には、①当該医薬品の投与人数が把握できないために、他剤との発生頻度比較や安全対策措置前後の発生頻度の比較ができない、②原疾患による症状と「副作用」の鑑別が難しい、③医薬関係者が報告しなければ副作用の存在がわからない、などの限界がある。
 これに対して、欧米では、すでに1,000万人~数千万人規模のDBが整い、医薬品の安全対策に積極的に利用され始めている。
 そのため厚労省は、全国に拠点となる協力病院を配し、レセプト、電子カルテ、オーダリング、検査からなるDBをつくり、それをネットワーク化することで、将来的に1,000万人規模の医療情報DBを構築。それをPMDAが分析・評価するシステムを整える事業を2011年度より5年計画で開始した。DBはPMDAの手で運用される。
 このデータは、厚労省やPMDAだけでなく、協力医療機関(他医療機関のデータ利用)、製薬企業、研究者も利用できる、いわば、レセプトや特定健診等の情報を集めたナショナルデータベース(NDB)の医薬品版となる。
 このデータ利用が、13年度から、10ヵ所の協力病院で試行される。したがって、本検討会は、すでに、協力医療機関と有識者によるWGが1年かけて整理した利用要綱や倫理規定等に加え、データの標準化、システムの改修、システム運用等を検討することになる。
 事務局(医薬食品局安全対策課)は夏までに報告をまとめ、年内にも、データ使用の申請受付を開始したいとしている。
 医療情報DB整備事業は、今後、分析手法ガイドラインの策定(全般・疾患領域ごと)、協力医療機関の拡大とDBの改修などの検討を経て、試行期間終了後のデータ利用の枠組みについても検討される予定だ。