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ホーム全日病ニュース第813回/2014年11月15日号 「非営利ホールディングカンパニー」型医療法人

「非営利ホールディングカンパニー」型医療法人等の検討を開始

「非営利ホールディングカンパニー」型医療法人等の検討を開始

【産業競争力会議の医療・介護等分科会】
18課題について年末に中間整理。医療法人への「会社分割」適用可否も検討

 

 産業競争力会議の医療・介護等分科会は10月29日の会合で、今後の検討項目として「非営利ホールディングカンパニー」型医療法人を含む18課題を確認、具体的な検討を始めた。
 9月2日の産業競争力会議は、健康長寿産業の戦略目標を「健康増進・予防等の市場規模を2020年に10兆円(現状4兆円)に、医薬品・医療機器や再生医療等医療関連産業の市場規模を2020年に16兆円(現状12兆円)に拡大する」ことに求め、(1)効率的で質の高いサービス提供体制の確立、(2)医療介護のICT化、(3)保険給付対象範囲の整理・検討、(4)公的保険外のサービス産業の活性化の4点について検討、年末までに「中間整理」を行なうことを、新設した同分科会に求めている。
 これを踏まえ、10月29日の医療・介護等分科会は、同分科会の増田寛也主査(東大公共政策大学院客員教授)の提案にそって、下記項目の検討を進めることで合意したもの。
 11月8日の会合には厚労省を招き、検討項目ごとに同省の見解を質した。
 厚労省は、「非営利ホールディングカンパニー」型医療法人の新設、医療法人の合併、附帯業務の範囲等については13年度から14年度にかけて結論をまとめる方針であると表明。社会医療法人の要件緩和に関しては、「適当ではない」と反対した。

医療・介護等分科会の今後の具体的な検討項目(骨子)

1.効率的で質の高いサービス提供体制の確立
①「非営利ホールディングカンパニー」型医療法人制度の検討
②医療法人の合併規制等の見直し
・会社法の会社分割と同様のスキームの検討
・社団医療法人と財団医療法人との合併方策の検討
③医療法人の附帯業務の拡充
 一定用途に限り、医療法人所有の遊休スペース等の賃貸事業を附帯業務に追加
④自治体病院等の公設・公的病院の医療品質情報の更なる開示
⑤社会医療法人の認可要件の緩和
⑥社会福祉法人の透明化
⑦病床機能分化の推進
・診療報酬体系と医療計画等との整合性の確保
・急性期病院における資源の重点化とそれに向けたインセンティブ付けの方策
・施設改修費用、耐震化費用等、医療機関の資金ニーズを充足するためのツールとしてのヘルスケアリートの活用方策
⑧介護サービスの品質改善
2. 公的保険外のサービス産業の活性化
①セルフメディケーションの一層の推進
②混合介護の普及・促進
③医療・介護のインバウンド、アウトバウンドの促進
3. 保険給付対象範囲の整理・検討
①保険収載のあり方
②保険外併用療養の大幅拡大等
③保険給付の適正化
4. 医療介護のICT化
①地域医療介護連携ネットワークの普及促進
②診療情報システムの標準化、電子カルテに記載されるデータ構造等の標準化
③電子処方箋の実現
5. フォローアップ
先進医療ハイウェイ構想(抗がん剤)、日本版NIHの創設、PMDAの体制強化、都市部での高齢化対策としての地域包括ケアシステムの構築等、既に日本再興戦略に盛り込まれている主な施策について、フォローアップを行い、着実な進捗・改善を図っていく。