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ホーム全日病ニュース第813回/2014年11月15日号一般病院 損益差額は-0.9%から-0.4%へ

一般病院 損益差額は-0.9%から-0.4%へわずかながら改善

一般病院 損益差額は-0.9%から-0.4%へわずかながら改善

【2013年の実調結果】
前改定を反映、急性期系の国公立が収支を大きく改善

 

 厚労省は11月6日の中医協・調査実施小委員会に、2014年改定の基礎資料となる2013年医療経済実態調査結果の概要を提示、調査実施小委は同日の中医協総会に報告した。
 前改定をはさむ2011年度内と12年度内に決算を迎えた2期の収支が対象。2期にわたる通年調査は11年実施の実調から始まり、今回が2回目。病院については1,429施設から回答を得た(回答率54.5%)。
 それによると、一般病院(介護収益の割合が2%未満)の損益差額は、11年度の-0.9%から12年度の-0.4%へと、わずかながら改善した。この結果について、事務局(厚労省保険局医療課)は「概ね横ばいである」という認識を示した。
 開設主体別にみると、医療法人が4.3%から4.4%へと黒字基調の下で横ばいとなったのに対して、国立(国立病院機構、労働者健康福祉機構)は-0.5% から-0.1%へ、公立(都道府県、市町村、地方独立行政法人)は-6.5%から-5.8%へと大きく戻したものの、いずれも赤字幅の圧縮にとどまり、両者は対照的な結果を示した。
 この日は支払側・診療側ともに意見を控え、11月半ばに見解を表明するとしたため、実調結果をめぐる議論はなかった。その中で、支払側の白川委員(健保連)は「国公立病院は損益のマイナスが続いている」と指摘。事務局に詳細なデータを求めるなど、国公立の赤字実態に強い関心を示した。
 損益差額のプラス、マイナスという違いは、公立病院改革プランに象徴されるように、公私間の経営風土・意識・環境による違いが大きい。
 それに加え、わずか0.1ポイントの医療法人と0.4~0.7ポイントの国公立との間に改善割合で大きな差がついた点に、前改定における急性期への重点配分の反映がうかがえる結果となった。
 実際、改定後の医業収益(12年度の対前年度比)をみると、国立が3.1%、公立が2.3%と大きく増収したが、医療法人は0.8%と微増にとどまった。
 総損益差額も、国立病院は-8.3%から0.4%へと著しく好転、公立病院も1.8%から2.7%へと改善をみせたが、医療法人は3.8%で変わらない横ばい状況を示している。