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ホーム全日病ニュース第813回/2014年11月15日号中医協総会/2014年度改定の議論

中医協総会/2014年度改定の議論:診療側 亜急性期機能に疑問表明。病室単位の容認を求める

中医協総会/2014年度改定の議論
診療側 亜急性期機能に疑問表明。
病室単位の容認を求める

宇都宮医療課長 「2次救急病院の指定は選択的要件の1つに過ぎない」

 

10月30日●在宅医療(4)在総管・特医総管、在宅患者訪問診療料等について

 中医協は診療側委員に新たに中川俊男氏(日医副会長)と長瀬輝誼氏(日精協副会長)が就任した。
 この日は、10月23日に議論できなかった「在宅医療における患者紹介等への対応」と「在宅医療を専門に行なう保険医療機関」等について意見を交わした。
【事務局の提案=論点】
◎在宅医療における患者紹介等への対応
(1)在宅時医学総合管理料と特定施設入居時等医学総合管理料は、訪問診療料と同様、「同一建物」と「同一建物以外」で分けた評価体系とする。(今後は量的な観点のみならず、質的な観点からの充実も進めていく。その場合に、現在議論している主治医機能のある医療機関の評価との連動を検討する必要がある)
(2)在宅患者訪問診療料は訪問診療の計画や診療内容の要点を診療録に記載する規定はあるが、「診療時間」「訪問先名」「患者の状態」を記載することは要件となっていない。そこで、
①患者等への説明と同意の確認を行ない、診療時間、訪問先名、患者の状態等を診療録に記載し、その内容を患者、家族等へ説明することを要件に含める。
②同一建物の訪問診療は診療実態に応じた適正な評価とする。
③加えて、その対象患者や適切な訪問診療の内容について検討する。
(3)患者紹介料については、療養担当規則の改正等により禁止する。
◎在宅医療を専門に行なう保険医療機関について
 フリーアクセスを確保しつつ在宅医療を推進していく中で、在宅医療を専門に行なう保険医療機関を認めてはどうか。その際、在宅医療を行なう保険医療機関の外来応需体制についてどのように考えるか。
[考えられる要件案(例)]
在宅医療を行なうことの被保険者への周知、急変時に患者から相談を受ける連絡先の確保、患者が外来受診できる連携医療機関の確保、訪問診療を行なう地域範囲の限定、など
【議論】
 診療側の鈴木委員(日医常任理事)は「在宅医療における患者紹介等への対応」に関する3提案を概ね了承したが、在宅患者訪問診療料への時間要件導入には同意できないとし、ガイドラインの活用を提案した。
 同じく万代委員(日病常任理事)も、事務局資料で20分要件が示唆されていることを披露し、「時間要件を入れると訪問診療が萎縮する」と強く反対した。
 これに対して、支払側は事務局案を基本的に支持。「高齢者が暮らしている施設にも規制をかけるべき」「紹介ビジネス自体を法で規制すべき」など、厳しい対応を求めた。議論はもっぱら紹介料のやりとりを封じる対策に終始した。
 在宅医療専門の医療機関については、鈴木委員が「在宅医療に限った診療所というのは、今後のかかりつけ医を中心とした地域包括ケアを推進する上でふさわしくない」などと難じた。
 診療側の安達委員(京都府医師会副会長)は、「外来はかかりつけ医機能の1つであり、在宅医療専門の医療機関にも外来応需を求めるべきだ」との見解を表明した。
 この意見に、白川委員は「在宅専門がかかりつけ医的な機能の下で行なわれるのが理想ではあるが、24時間の緊急対応と外来は難しい。例え、訪問する医師が変わろうが、24時間在宅というものを希望する患者も少なくない。
 今は、色々な形態を模索すべきではないか」と反論、現行在支診を補完する機能に期待を寄せた。

診療側「大病院における長期処方の禁止」を提起

11月1日●「入院医療等の調査・評価分科会」の報告

 「2013年度入院医療等の調査・評価分科会のとりまとめ」のうち、12年度調査にもとづく中間まとめ案(8月1日号参照)は、8月21日の中医協総会で議論済みであることから、分科会におけるその後の追加修正に関する説明にとどまり、この日は、13年度調査にもとづく改定項目の提案点(10月15日号を参照)について説明が行なわれた。
 7対1・10対1の特定除外制度の廃止、7対1経過措置の廃止、金曜入院・月曜退院や正午退院各減算措置の継続、紹介なし患者等初・再診料減算の適用拡大などをめぐり、活発な議論が展開された。
【議論】
 支払側は分科会が提起した改定項目と改定の方向性をすべて妥当とした。
 これに対して、診療側は、7対1等の特定除外患者の死亡を含む退院経路に関する詳細データがないことや金曜入院・月曜退院や正午退院の各減算措置の適用施設がないことなどを指摘し、拙速な結論を戒めた。
 金曜入院・月曜退院や正午退院の各減算措置について、白川委員は、措置の継続は必要としつつも、「その適用基準についてはあらためて議論すべき」と応じた。
 紹介なしに受診した患者等の初・再診料減算を500床以上の全病院に適用拡大するという案に、診療側は「精神科単科(や療養病床のみの病院)は外 すべき」と主張した。支払側からは特段の反対意見がなかった。
 この提案に関連して、鈴木委員は、逆紹介率を推進するために「大病院における長期処方の禁止を考えるべき」と提起、安達委員も同調した。
 宇都宮医療課長は「多剤投与の問題もある。一度議論することにやぶさかではない」と応じた。
 鈴木委員は、また、分科会の「とりまとめ」に書き込まれた7対1病床の医療機能の定義に疑問を表明、「1回議論すべきだ」と提起。
 中川委員は同じく亜急性期の定義を取り上げ、「在宅の急変時の受け入れ」を機能とした場合に、「在宅で急変した高齢者は亜急性期病床に搬送されることになるのか」と質した。
 宇都宮課長は、「在宅急変の際に亜急性期しかないという意味ではない。急性期を含むそうした病床にいくということだ」と釈明した。
 中川委員は、さらに、亜急性期病床の要件案に「2次救急病院の指定」とあるのを取り上げ、「2次救急病院はすべて急性期の病院だ。ここに亜急性期の病院を入れようとしているのは問題だ」と難じた。
 宇都宮課長は「2次急の指定は選択的要件の1つに過ぎない」と説明した。
 一方、鈴木委員は、「亜急性期病床の病棟単位というのは中小病院には難しい。病室単位も認めるできではないか」と主張した。

11月6日●費用対効果評価の「中間整理」

 費用対効果評価専門部会からの報告(議論の中間的な整理)が了承された。
 「中間整理」は、評価の対象は医薬品と医療機器の保険収載可否と償還価格が中心となるが、先進医療の保険適用を判断する際も対象とするとしている。
 また、費用対効果を評価する際の指標については、QALY(QOLを反映した生存期間である質調整生存年)を採用する意見と否定的な意見とを並列した。
 部会は、引き続き、具体例に当てはめながら検討を進め年内に中医協総会に報告する方針だ。
 この導入について、部会で、関原部会長は「今後は、来年度からの試行的導入に向けた議論になる」と述べている。(同日の中医協総会で議論された医療経済実態調査の結果は2面に掲載)