全日病ニュース

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医療機関群の見直し 係数Ⅱの配分引き上げを検討。Ⅲ群の細分化は否定

医療機関群の見直し
係数Ⅱの配分引き上げを検討。Ⅲ群の細分化は否定

Ⅱ群は高度急性期。要件を「地域における機能」とする方向を打ち出す

 9月5日に開かれた中医協・診療報酬調査専門組織のDPC評価分科会は、次期改定に向けたDPC 制度の見直し課題のうち、「診断群分類点数表」と「医療機関別係数」について検討の方向性を「中間とりまとめ案」に整理、中医協総会に諮ることを決めた。(2面に詳細記事)  

 その中で、焦点の「医療機関群のあり方」に関しては、(1)Ⅰ群を大学病院本院とする現行制度を維持する、(2)Ⅱ群の要件を「地域における機能」とし、病院が地域でカバーしている機能を対象とした基準に見直す、(3)Ⅲ群は細分化しないが機能評価係数Ⅱの配分割合の引き上げを検討する、という方向が打ち出された。
 ただし、以上の方針には、それぞれ以下のような補足説明が必要だ。
 (1)については、本院として求められる本来機能を満たしていない大学病院に対しては、実態を捕捉した上で、減算等何らかの措置をとるという対応が予定されている。
 (2)に関しては、Ⅱ群病院をⅠ群ともども高度急性期病院に位置づける方向で病院群を固定する方向が想定されているが、現行要件のようにアウトカムによる実績のみの評価でいくとⅡ群とⅢ群間の移行が繰り返されるため、それを避けるためにも、地域(3次医療圏)で何をカバーしているかという指標を要件化する方向の見直しが考えられている。
 (3)については、DPC病院の経営安定化に配慮した基礎係数の配分割合がきわめて高い現行評価では、医療の質の向上による増収という側面が軽視されるため、医療のレベルを上げる取り組みに向かうインセンティブを弱めていないかという指摘が背景にある。
 そのため、今後は、医療の質の向上をさらに評価する方向で見直すべきということで、機能評価係数Ⅱの配分割合の引き上げは「調整係数の置き換え完了に向けた枠組み」として提起されており、したがって、Ⅰ群、Ⅱ群を含むすべてのDPC対象病院がその対象とされている。
 以上の考え方は、分科会の議論の流れに沿ったものではあるが、医政局が進める機能分化・連携の方向を踏まえた事務局(厚労省保険局医療課)の問題意識を反映するものでもある。
 ただし、事務局は、「中間とりまとめ案」で整理された検討の方向を中医協総会が大筋で了承した後の分科会で具体的な検討に入りしたいとしており、「中間とりまとめ案」で示した検討の方向は、現時点では「選択肢の1つに過ぎない」(担当官)としている。