全日病ニュース

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「センター等の助言で院内調査の精度を高める」―意見が一致

【診療関連死調査手法の研究班】

「センター等の助言で院内調査の精度を高める」―意見が一致

 診療関連死調査のガイドライン案を検討している2014年度厚労科研「診療行為に関連した死亡の調査の手法に関する研究班」(研究者・西澤寛俊全日病会長)は9月3日、第3者中立機関となる「医療事故調査・支援センター」の業務をテーマに議論した。
 研究者の西澤寛俊全日病会長が会合後の記者会見で明らかにしたところによると、この日は、(1)病院から報告された内容の整理分析のあり方、(2)遺族からの申請で行なわれるセンターの調査のあり方について、が議論された。
 まず、(1)については、①病院からの報告にセンターが不備や誤りを指摘するのは不効率であり、院内調査を行なう段階でセンターに相談する仕組みが必要ではないか、という意見が示された。
 また、②報告の分析に際しては院内の当事者全員に聴取したかどうかを確認する必要がある、という意見もあった。
 院内調査報告の分析に関しては、③院内調査報告全体の蓄積を踏まえて、全国レベルで再発防止につなげるような分析の視点が大切である、④院内調査報告は地域や医療機関によって差が大きいので、全国のレベルを向上させていくようなセンターの支援が必要ではないか、という指摘もあった。
(2)のセンターによる調査に関しては、「(院内調査に対して)どちらが上という関係ではなく、単に機能の違いに過ぎず、並列の関係である。したがって、院内調査を中心とし、センターは院内調査をサポートするというかたちにしてはどうか」「センター調査が行なわれる必要が少なくて済むように、センターは院内調査に対する支援に注力すべきではないか」などの意見が出た。
 これ以外に、「提言された再発防止策を病院がきちんと実践しているかどうか検証する業務をセンターに設ける必要があるのではないか」との指摘もあった。
 以上の議論について、西澤会長は、「全体的に、(1)については、院内調査の質と全国的な再発防止の取り組みが向上していく方向で蓄積された報告書の整理と分析を行なっていく、ということではないか。(2)に関しては、院内調査の報告に対する相談支援を充実させてはどうか、医療機関の再発防止に対するフォローアップが必要というのが主な意見であった」と整理。
 その上で、「本日はとくに意見の食い違いはなかった。院内調査が一番大切であるという認識で研究協力者の意見は一致した」とまとめた。  

医療事故調査制度 省令等の案作成へ厚労省が検討会を設置

 厚労省の二川医政局長が「診療行為に関連した死亡の調査の手法に関する研究班」の会合(9月3日)を訪れ、医療事故調査制度の2015年10月施行に向け、厚労省に医療事故調査制度に関する省令や告示等の案を審議する検討会を10月に設置する旨を明らかにし、その審議に同研究班の議論内容を反映させたいとして、議論の中間報告を求めた。
 会合後の記者会見で研究者である西澤全日病会長が明らかにした。