全日病ニュース

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特定機能病院、臨床研修病院(管理型)に「一般病院3」の新設を検討

【次世代医療機能評価ビジョンに係る報告書(素案)について】

特定機能病院、臨床研修病院(管理型)に「一般病院3」の新設を検討

全国平均の認定率は26%。全日病会員は41%と高い認定率

病院機能評価委員会委員長(常任理事) 木村 厚

 日本医療機能評価機構(以下機構)が今年設立20周年を迎え、7月24日に記念式典を行うことになっている。それに合わせて機構は事業推進部会を立ち上げ、事業の刷新を図っている。
 私も部会委員の一人として参加したので、今回この稿でそのあらましを述べたい。
 認定病院数の減少をくい止めるべく、2013年4月より新評価体系3rdG/Ver.1.0がスタートした。
 しかし、認定病院数は減り続けている。新規受審病院は少しずつ増加しているものの、更新を辞退する病院が20%を越えているからだ。
 更新辞退の主な理由は、①病院機能評価のノウハウは解ったので更新受審の必要がない、②人員不足、である。一方、受審しない病院の理由は、①メリットがない、②現在の建物・設備が古いので新しくするまでは受審できない、等である。
 更新を辞退する病院によると新評価体系以前と変わりがないということになってしまう。新評価体系における、期中の確認による継続的質の評価の支援、病院の機能特性(一般病院1と2)に応じた評価方法等は考慮されておらず、受審病院の負担軽減のための評価項目の削減も単にハードルが下がったとのとらえ方をされているきらいがある。
 病院機能評価の認定率は医療法人は21.4%、100床未満の病院は10%となっている。すなわち、民間・小規模病院の受審率が低く、病院医療の質の底上げに役立っていないと考えられる。
 その中で、日本全国の病院の認定率が26%であるのに対して、全日病会員における認定率は41%とかなり上回っているように、意識の高い民間病院や中小病院は認定を受けていると言える。
 事業推進部会で検討した結果、「次世代医療機能評価のビジョン」を打ち出すことになった。その報告書の素案ができあがったので、その要旨を報告する。

次世代医療機能評価のビジョン

 医療機能評価を通じて、患者が安心して医療を享受でき、職員が働きやすく、知己に信頼される病院づくりに貢献する。
□ビジョンを達成するための施策
(1)地域医療の質向上に寄与するための「評価」について
 ①病院の役割・機能に応じた評価の実施など、評価方法の見直し
 ②教育・研修の役割を担う病院を対象とした新たな機能種別の設定
 ③認定病院を対象とした専門的な評価の設定
 ④地域の医療提供施設と病院の連携を強化した新たな評価の検討
(2)医療の質改善を促進させるための組織への「支援」について
 ①認定取得後の質改善活動を促進させる支援サービスの提供
 ②受審病院のニーズに応じた支援サービスの強化
 ③その他の医療機関に関する質改善活動の普及・促進
(3)医療の質改善を促進させるための個への「教育」について
 ①管理職を対象とした研修の新設及び教育プログラムの体系化
 ②継続的な学習機会の提供これら施策については病院機能評価委員会としても賛成するものであるが、報告書(素案)に対しては、以下の意見を表明した。
●(1)の②について
 特定機能病院、臨床研修病院(管理型)を対象に「一般病院3」という機能種別の新設を考えているが、大変よいことと考える。
 ただし、それぞれの病院の機能を適切に評価し、病院数では最も多い中小規模病院の質の底上げを図るためにということで「一般病院1」を設定したのであるから、機能種別によってハードルの高さが異なるとはとらえてほしくない。
●(2)の③について
 診療所、保険薬局、訪問看護ステーション、老健施設等の機能評価を視野に入れているが、病院の評価で手いっぱいであり、あまり範囲を広げない方がよいと思われる。
●「受審のメリット」の1つが地域と患者からの信頼の獲得であるが、病院能評価が患者さんに知られていない。広報ではなく、もっと広告に予算をつぎ込むべきであるが、今回の報告書では触れられていない。

受審支援セミナーを名古屋(5/31)、札幌(9/11)で開催

 病院機能評価は第三者評価の重要性に鑑み、会員病院に更新・受審をお願いしている。
 年2回開催している受審支援セミナーは、この5月31日に名古屋で、9月11日には札幌で実施する予定である。前回から内容を一新し、ケアプロセスの実際を参加者の皆さんと実践してゆこうと準備している。
 また、アドバイザーが病院を訪問して助言する支援も行っているが、好評であるので、その利用をお勧めする。