全日病ニュース

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「2020年まで社会保障費の増加を年5,000億円に抑えるべし」

「2020年まで社会保障費の増加を年5,000億円に抑えるべし」

財務省 マイナス改定や改革に適合しない病院・地域の報酬調整等を提案

 健全財政に向けた議論を重ねる財政制度分科会の4月27日の会合で、財務省は、政府予算における社会保障関係費の伸びを、2020年までの5年間は「高齢化による伸び」の年平均0.5兆円に抑制する必要があるとの考えを示した。
 社会保障関係費は12年度の28.9兆円から15年度に31.5兆円へと2.6兆円増加している。しかし、消費税率引き上げによる増収分(1兆円)の配分を除く実質的増加は約1.5兆円で、年平均で0.5兆円となる。
 社会保障費の年間の自然増は1兆円程度とみられるが、財務省は過去3ヵ年の実績値0.5兆円であれば「高齢化による伸び相当の範囲内である」とし、社会保障費の自然増を5,000億円削減した予算配分を、少なくとも20年まで維持すべきとした。
 14年度の診療報酬改定率は全体(ネット改定率)で-1.26%と08年度改定以来のマイナスとなったが、消費税率引き上げによる補填で1.36%が確保されたため、名目上のネット改定率は+0.1%となった。
 15年度の介護報酬改定率は実質-4.48%と史上最悪のマイナスとなったが、消費税の増収分を活用して+2.21%を確保、表向き-2.27%で決着した。
 社会保障費の伸びを過去3ヵ年の実績内に抑えるということは、その多くを占める医療・介護給付費の増加を抑制するということであり、過去3ヵ年に実施されたように診療報酬と介護報酬のマイナス改定を今後も継続するということになる。
 こうした抑制を可能とする効率化を実現するために、財務省は、①調剤報酬の適正化、②診療報酬本体と介護報酬のマイナス改定、③受診時定額負担・保険免責制の導入、④全病床に居住費(光熱水費相当)負担の導入、⑤標準的外来医療費算定式(ガイドライン)の策定、⑥各病床機能の算定要件の厳格化、⑦慢性期病床の配置基準等と報酬単価の見直し、⑧県の勧告等に従わない病院の報酬単価の減額、⑨改革が進まない地域の報酬単価の調整、⑩民間医療機関に対する他施設への転換命令等都道府県の権限強化など、多岐にわたる措置を提案した。
 2020年のプライマリーバランス黒字化を目指す財政審の議論は5月中に報告書にまとめられ、諮問会議を経て「骨太の方針」に反映されるほか、政府が夏に策定する新たな財政健全化の計画にも盛り込まれる。