全日病ニュース

全日病ニュース

東京女子医大病院と群大病院の特定機能病院を取り消し

東京女子医大病院と群大病院の特定機能病院を取り消し

厚労省 特定機能病院に集中立入検査、結果を踏まえて承認要件の見直しを検討

 4月30日に開催された社会保障審議会の医療分科会は東京女子医科大学病院と群馬大学医学部付属病院に対する特定機能病院の承認を取り消すことが相当とする意見書をとりまとめた。
 医療分科会は、併せて、特定機能病院等の医療安全管理体制に関する意見書もまとめ、ともに同日、塩崎厚生労働大臣に提出した。
 両大学病院について、塩崎大臣は同日の記者会見で「5月中を目途に特定機能病院の承認を取り消す」と言明。
 さらに、特定機能病院に対する集中立入検査の実施、その結果を踏まえた承認要件の見直し、立入検査項目や高難度の新規医療技術導入プロセスの見直し等を実施するとし、その推進機関として同日付で省内に「大学附属病院等の医療安全確保に関するタスクフォース」を設置したことを明らかにした。
 厚生労働大臣を本部長、医政局長を本部長代理とするタスクフォースには文科省にも参加を求める方針だ。
 特定機能病院の承認要件については2014年4月に見直しが行なわれたばかりだが、今回は、主に「ガバナンス」や「医療安全」の面から検討されるとみられ、タスクフォースが見直しの方向性を打ち出し、具体的な検討は社保審の医療部会などの関係審議会で議論されると思われる。
 東京女子医大病院は、2014年2月、術後集中治療の人工呼吸中の小児に禁忌のプロポフォールを大量投与したために死亡した事故が、群大病院では、2010から14年にかけて腹腔鏡による肝臓切除手術を受けた患者93人のうち8人が手術後100日以内に死亡した事故が、それぞれ承認取り消しの審査にいたる発端となり、いずれも、医療安全体制の瑕疵、チーム医療の機能不全、ガバナンス上の欠陥が問われた。
 特定機能病院は、過去、横浜市立大病院(1999年)、東京女子医大病院(2002年)、東京医科大学病院(2005年)と3回取り消し処分を受けており、今回が4例、5例目。その中で東京女子医大病院は2回目となる。