全日病ニュース

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厚労省 7対1からの移行に病棟群で7対1が届出できる一時的な措置を提案

厚労省 7対1からの移行に病棟群で7対1が届出できる一時的な措置を提案

【2016年度診療報酬改定】
「重症度、医療・看護必要度」にM項目(術後管理)を新設。7対1の該当割合基準は大幅引き上げか

 この“特例措置”は日病協や四病協が提案している「病棟群単位による入院基本料の届出」の考え方を採用している。ただし、宮嵜医療課長は「普遍的恒常的に導入するものではない。7対1からの移行を目指す病院に限った話だ」としている。
 事務局の提案に、猪口委員は「前改定に対応するために7対1の病院は大変苦労した。前回に続く大きな変更は病院の疲弊を強めるもので好ましくない」と強い疑問を呈した。
 「重症度、医療・看護必要度」の見直しにも、「これですべての重症患者を拾えるかは疑問、この項目がすべてではない」とした上で、「事務局の試算はやり過ぎだ。影響率はもっと小さくしないと現場は混乱する」と否定的な見解を示した。
 診療側の委員は、平均在院日数要件の引き下げを含め、7対1の算定要件厳格化には総じて反対した。
 一方、支払側は、7 対1の算定要件を見直す事務局提案に概ね賛成したが、7対1届出に伴う“特例措置”には慎重な姿勢をのぞかせた。
 これについて、幸野委員は「頭から否定するものではない。7対1算定要件の見直しを明確にした上で、その移行を促す策として検討することであれば(導入に)やぶさかではない」と述べ、今後の展開に含みを残した。

12月11日の中医協総会 個別事項(6)(略) 個別事項(7)勤務医等の負担軽減

◎医師事務作業補助者に関する論点
 医師事務作業補助体制は加算1 の実施をより推進し、その際、診断書作成の補助と診療録の代行入力は実施場所を問わず加算1 の対象としてはどうか。
◎夜間等における医師の負担軽減に関する論点
・脳卒中ケアユニットについて、院内に常時おくべき医師の経験年数を緩和してはどうか。
・画像診断管理加算の算定に当たっては、当該医療機関の常勤の医師がICTを活用して自宅で読影した場合も、院内での読影に準じて扱うこととしてはどうか。
◎手術・処置における休日・時間外・深夜加算1に関する論点
 予定手術前の当直免除の要件は、病院全体で届出する場合に限って、予定手術の前日における当直等の日数の上限を病床規模に応じて緩和してはどうか。
◎看護職員の負担軽減に関する論点
・夜間急性期看護補助体制加算の評価を充実してはどうか。
・看護補助業務のうち一定の部分は看護補助者が事務的業務を実施することができることを明確にしてはどうか。
・例えば看護管理者が看護補助者活用の研修を受けるなど、看護職員と看護補助者の業務分担の取組が進むよう促してはどうか。
◎常勤配置の考え方に関する論点
・常勤従事者が育児・介護休業法に定める休業を取得した場合に、一定の期間、同等の資質を有する複数の非常勤従事者が常勤換算で施設基準を満たすことを認めてはどうか。
・育児休業後等の従事者が短時間勤務制度を利用して正職員として勤務している場合、育児・介護休業法で定める期間は週30時間以上の勤務で常勤扱いとしてはどうか。
◎認知療法・認知行動療法に関する論点 (略)
【主な議論】
 この日は、公益委員の起草になる「2016年度診療報酬改定に対する中医協の意見」を採択し、厚生労働大臣宛に提出した。
 病院代表の委員は、個別事項(7)「勤務医等の負担軽減」の論点に概ね賛同しつつ、いくつかの意見・要望を示した。
 診療側の万代委員(日病常任理事)は、実施場所を問わず加算1 の対象となる行為は「診療録の代行入力等」とし、広く解釈するよう求めた。
 「予定手術前の当直の免除」で、加算を算定する診療科による届出ではなく、「病院全体で届出する場合に」要件が緩和される点に関連して、同委員は、「予定手術前日の当直等の日数が算定診療科の合計で年間12日以内」とある現行規定を「診療科ごとに年間12日以内」と緩和するよう求めた。
 猪口委員は、急性期を対象とし、年間の救急患者が最低100名以上を要件としている医師事務作業補助体制加算を「全病床に拡大してほしい」と要望。育児・介護休業法との関係で常勤配置の考え方を見直す点には賛成した。
 「勤務医等の負担軽減」について、支払い側は特段の意見を示さなかった。なお、常勤配置の考え方見直しにおける「同等の資質を有する」点について、事務局は「例えば研修要件を満たすこと」と説明した。