全日病ニュース

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現役並み所得者への3割負担導入の提案に賛否分かれる

現役並み所得者への3割負担導入の提案に賛否分かれる

【厚労省・介護保険部会】
とりまとめに向けて大詰めの議論に入る

 介護保険制度の改正を検討している社会保障審議会・介護保険部会(遠藤久夫部会長)は11月25日、意見とりまとめに向けて、(1)利用者負担および(2)費用負担(総報酬割)に関する最終ラウンドの議論を行った。
 (1)利用者負担に関して厚生労働省は、①1号被保険者のうち現役並みの所得を有する者の利用者負担割合を3割とする、②高額介護サービス費は現在の一般区分の負担上限額(世帯・月額)を37,200円から44,400円に引き上げる案を示した。
 利用者負担が3割となる1号被保険者は、世帯内に課税所得145万円以上の第1号被保険者がいる場合であって、世帯内の第1号被保険者の収入合計が520万円以上のケース(単身世帯であれば383万円以上)。利用者負担に関する厚労省の提案に対し、日本医師会常任理事の鈴木邦彦委員は、「医療保険との整合性を図るべきであり、3割負担もやむを得ない」と支持したほか、全老健や被用者保険、経団連など少なからぬ委員が、介護保険財政の窮状などを理由に、「応能負担の原則から、所得のある者により多く負担してもらうのはやむを得ない」と賛成した。
 一方、連合など労組の委員や利用者団体、日本介護福祉士会、全老施協などの委員は、反対もしくは消極的な意見を述べた。全国町村会の委員も「さらに十分な議論をお願いしたい」として慎重な姿勢を示し、賛否は相半ばした。
 (2)費用負担について厚労省は、介護納付金の被用者保険者間の負担方法を、段階的に人数割から総報酬割に変更することを提案した。これに対し、被用者保険等の一部の委員を除いて多くの委員が賛同した。
意見書素案を示す
 厚労省はこの日の部会に、利用者負担と費用負担の検討課題を除いて、これまでの議論をまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」の素案を示した。
 この中で、①「軽度者に対する生活援助サービス等の総合事業への移行」は現在進められている介護予防訪問介護・通所介護の移行の把握・検証後に検討すること②生活援助を中心としたサービスを提供する場合の人員基準等の緩和は、2018年度介護報酬改定の際に改めて検討すること③要支援・要介護度に応じて利用者負担に違いを設けることには賛否があったこと④療養病床の見直しについては、特別部会の審議結果に基づいて対応するのが適当であること―などの方針を打ち出している。
 介護保険部会は、次回から、この日の議論を織り込んだ意見書案を示し、大詰めの議論に入る。

 

全日病ニュース2016年12月15日号 HTML版