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医療区分Ⅱ・Ⅲ患者にも光熱水費負担。医療系委員は強く反発

医療区分Ⅱ・Ⅲ患者にも光熱水費負担。医療系委員は強く反発

【厚労省・医療保険部会】
かかりつけ医以外受診の定額負担「引き続き検討」

 厚生労働省は11月30日の社会保障審議会・医療保険部会(遠藤久夫部会長)に、経済・財政再生計画改革工程表で指摘された医療保険制度の具体的な見直し案を示した。入院時の居住費の患者負担の見直しでは、医療療養病床に入院する65歳以上の全患者に、光熱水費相当額として1日370円の負担を求め、医療区分Ⅱ・Ⅲの患者は段階的に施行するとした。
  厚労省は見直し項目として、(1)高額療養費(2)後期高齢者の保険料の軽減特例(3)入院時光熱水費相当額の患者負担(4)子ども医療費助成に係る国保の減額調整措置(5)金融資産等保有状況を考慮した負担のあり方(6)かかりつけ医を受診した場合の外来時の定額負担(7)スイッチOTC の保険償還率―の7項目の方向性を示した(後出参照)。このうち、(1)(2)(4)については複数の案を提案して選択の余地を残す一方、(5)~(7)は引き続き検討課題としている。
 議論では、高額療養費の見直しについて、保険者代表などの委員は給付費削減額が約3,640億円となる「案1」を支持。一方、医療系の委員は削減額が約2,390億円となり、住民税非課税区分の外来特例の負担限度額を据え置く「案2」を支持した。入院時の居住費の患者負担見直しでは、医療療養病床の医療区分Ⅱ・Ⅲの患者にも光熱水費相当額を求める案に対し、医療系の委員などが強い反対意見を示した。

「経済・財政再生計画改革工程表等の指摘事項」の見直しの方向性

(1) 高額療養費制度の見直し
○ 70歳以上の高額療養費(世帯単位)
・現役並みの区分は、70歳未満と同様に細分化した上で負担限度額を設定。
・一般区分は、70歳未満と同額に負担限度額を引き上げ、多数回該当を設ける。
・住民税非課税の区分は負担限度額を据え置く。
○ 70歳以上の外来上限特例(個人単位)・現役並みと一般区分は特例を撤廃する(案1)。または、一般区分については特例を維持した上で上限額を引き上げる(案2)。
・住民税非課税の区分については特例を残した上で、負担限度額を引き上げる(案1)。または、負担限度額を据え置く(案2)。
○施行は2段階に分けて行い、1段階目は2017年8月、2段階目は2018年8月とする。
(2) 後期高齢者の保険料軽減特例の見直し
○現行の加入者に対する適用
・均等割の軽減特例は段階的に本則に戻す(案1)。または、介護保険料の軽減の拡充や年金生活者支援給付金の支給と合わせて本則に戻す(案2)。
・所得割の軽減特例は2017年度から本則に戻す。
・元被扶養者への特例は段階的に解消する。
(3) 入院時の光熱水費相当額に係る患者負担の見直し
・患者の居住費については、医療療養病床に入院する65歳以上のすべてに、光熱水費相当額の負担を求める。 難病患者は、今回は引上げの対象外とする。
・見直しによる新たな負担額は1日370円とし、段階的に施行する。
・具体的には、2017年10月から医療区分Ⅰは320円から370円へ引き上げ、医療区分Ⅱ・Ⅲは200円の負担とし、2018年4月から医療区分Ⅱ・Ⅲの負担額を370円に引き上げる。
(4) 子ども医療費助成に係る国保の減額調整措置の見直し
(5) 金融資産等の保有状況を考慮した負担のあり方
(6) かかりつけ医普及の観点からの外来時の定額負担
・かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入については、病院・診療所間の機能分化の観点から、病院への外来受診時の定額負担に関して、現行の選定療養による定額負担の対象の見直しを含め、引き続き検討を進める。
(7) スイッチOTC 化された医療用医薬品に係る保険償還率

 

全日病ニュース2016年12月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 高額療養費制度の見直し内容について(厚生労働省保険局高齢者医療課 ...

    http://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2016/161227_3.pdf

    2016年12月22日 ... 負担能力に応じた負担を求める観点から、低所得者に配慮した上で、高額療養費
    算定. 基準額を見直す .... <44,400円>. 住民税非課税. 8,000円. 24,600円. 住民税
    非課税. (所得が一定以下). 15,000円. 区分. 限度額. (世帯※1). 外来.

  • [2] 高額療養費制度における自己負担限度額の見直しの周知用ポスター ...

    http://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2014/141211_5.pdf

    2014年12月12日 ... 平成27年1月1日より、高額療養費制度における自己負担限度額が見直され. ることに
    伴い、別添の ... 上記ページの中の、. ・ご案内「70歳未満の方で、高額な医療費をご
    負担になる皆さまへ」(平成27 ... ⑤ 住民税非課税の方. 35,400円.

  • [3] 厚生労働省保険局医療課:H28.2.2

    http://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2016/160203_1.pdf

    2016年2月2日 ... 標準報酬月額 26万円以下. 34 多エ. 低所得者(住民税非課税). 35 多オ. ① 今般の
    改正は、高額療養費について、負担能力に. 応じた負担を求める観点から、70歳未満の
    所得区分を. 細分化し、自己負担限度額をきめ細かく設定するもの。

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