全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2016年)第885回/2016年12月15日号年内に薬価の抜本改革を集中的に議論...

年内に薬価の抜本改革を集中的に議論

年内に薬価の抜本改革を集中的に議論承

【中医協・薬価専門部会】
諮問会議主導の進め方に違和感も

 中医協の薬価専門部会(西村万里子部会長)は11月30日に会合を開き、25日に開かれた経済財政諮問会議で安倍晋三首相が「薬価制度の抜本改革に向け、諮問会議で議論し、年内に基本方針をまとめる」と発言したことを受け、12月中に薬価専門部会で集中的な議論を行うことを決めた。ただ、中医協委員からは、通常とは異なる議論の進め方に違和感が表明された。また、薬価の毎年改定に対しては、反対意見が相次いだ。
 中医協は今年度に入って以降、高額薬剤への対応を議論している。その結果、①オプジーボの特例的な薬価引下げ②最適使用推進ガイドラインの策定③薬価制度の抜本改革─を講じることを決めた。2018年度診療報酬改定に向け、年度内に一定の方向性をまとめる予定だった。首相の突然の「指示」と、基本方針を策定する舞台が諮問会議になったことに対し、中医協委員からはとまどいと違和感が示された。
 厚労省の迫井正深医療課長は、「唐突感は認める。だが、高額薬剤が経済財政に大きな影響を与える状況で、経済財政諮問会議で議論するのは必要だ。
 ただ、2018年度改定に向けた具体的な議論の進め方は、従来のプロセスと変わりはない」と述べ、理解を求めた。
 一方、安倍首相は、諮問会議における民間議員の提案を踏まえた議論を求めている。民間議員は、「医薬品の流通価格の下落実勢を毎年度予算に適切に反映する毎年改定」を主張している。同日の議論では、診療側と専門委員(製薬企業、医薬品卸売業)が、毎年改定に反対を表明。一方、支払側の委員は、「薬価と市場実勢価格がかい離するメカニズムをみて、是非を判断したい」として、厚労省に実態把握を求めた。厚生労働省は同日の中医協の調査実施小委員会(野口晴子小委員長)に、2018年度診療報酬改定の参考資料とする医療経済実態調査の有効回答率向上策を示した。項目の簡素化や無効回答を防ぐ対応策を提示した。
 改善策では、◇わかりやすい資産・負債等の按分例の記載(具体的な按分方法と計算式)◇自動的に施設単位で算出する電子調査票の機能追加◇相談機会の拡大◇関係団体への協力依頼、発送用封筒の工夫─などを提案した。
 これらの提案に異論は出なかった。また、「未活用」の調査項目の削除・統合なども行う。

 

全日病ニュース2016年12月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 中医協・薬価部会> オプジーボの薬価を市場拡大再算定で引下げ

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20161101/news15.html

    2016年11月1日 ... 厚生労働省は10月5日の中医協・薬価専門部会(西村万里子部会長)に、抗がん剤の
    オプジーボ(小野薬品工業)を念頭に置いた高額薬剤の薬価の特例的 ... 高額薬剤への
    対応では、2018年度改定で薬価算定の抜本改革を行う方向にある。

  • [2] 高額薬剤への対応でガイドラインを策定|第877回/2016年8月15日号 ...

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20160815/news01.html

    2016年8月15日 ... 中医協(田辺国昭会長)は7月27日の総会で、高額薬剤が医療保険財政に大きな影響
    を与えつつあることを踏まえ、その対応方針を了承した。高額薬剤の最適な使用方法を
    ... 薬価改定後に効能・効果が追加され、大幅に売上げが増えたオプジーボの薬価
    見直しも議論する。これらについて年内に一定の結論を得るとともに、2018年度診療
    報酬改定に向け抜本的な改革の議論も始める。 高額薬剤への対応について ...

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。