全日病ニュース

全日病ニュース

有床診設置の特例で調整会議が一定の判断

有床診設置の特例で調整会議が一定の判断

【地域医療構想WG等合同会議】織田委員は特例の実施に懸念表明

 厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ・在宅医療及び医療・介護に関するワーキンググループ合同会議」は3月2日、有床診療所の特例の取扱いを概ね了承した。病床過剰地域でも特例で有床診を開設できる制度について、地域医療構想調整会議の協議を経ることを明確化した。ただ全日病副会長の織田正道委員は、「増床が難しい地域では問題が生じかねない」と述べて有床診療所の特例に懸念を示した。
 病床過剰地域で都道府県知事が病床の増設などを認めない規制は、病院と同様に有床診療所にも適用されるが、有床診には特例がある。在宅医療やへき地医療、小児・周産期医療を提供する有床診として、医療計画に記載する場合は許可ではなく、「届け出」で開設できる。2018年度からはこの特例が拡大する。
 具体的には、①在宅療養支援診療所②急変時の入院患者の受入れ(年6件)③患者からの電話等に常時対応④一般病棟からの受入れ(入院患者の1割以上)⑤看取り⑥全身麻酔(年間30件)などの実施⑦在宅・介護施設への受け渡し─などの機能を担う場合に広げる。
 都道府県知事が都道府県医療審議会の意見をきいて、これらに該当すると判断すれば、設置が可能となる。
 地域包括ケアシステムの構築を目指す上で、有床診が在宅医療や緊急時対応、病院から在宅・介護施設への受け渡しなどの機能を担うことが期待されている。有床診は減少傾向にあり、制度的に支援するため、特例を設けた。
 しかし、人口減で地域の病床の必要量が減る状況では、有床診による増床が全体として不適切になる場合もあり得る。
 このため厚労省は、特例の拡大に際して、地域医療構想調整会議の協議を経ることを明確化して、地域に必要な有床診であるかを見極める手続きを求めることにした。病床の必要量を把握し、地域全体の医療機関の役割を議論する調整会議に、一定の判断を求める考えだ。ただ織田委員は、「調整会議の議論は地域差が大きく、十分に進んでいない。地域全体の増床が難しい状況で、有床診の特例で増床になると問題が生じかねない」と懸念を示した。
 また、織田委員は、特例の要件が示されていても、開設の場合は「実績」がないので、「見込み」で認めるしかないことも問題視した。
佐賀で国立病院機構が病床削減
 厚労省が地域医療構想調整会議の先進事例として佐賀県の状況を報告した。
 具体的な医療機関名をあげた協議が行われており、主要な病院がどの機能を担っていくかで合意を得ている。例えば、国立病院機構東佐賀病院は協議を経て、「休棟55床の削減」で合意した。
 「東部区域においては、回復期は民間の今後の取組みにより充足が見込まれることで一致」したという。
 織田委員は、「佐賀では、回復期の病床不足が現状で他の医療機能で担われていることが、調整会議の構成員に理解されている」と述べた。
 そのほか、来年度から始まる新たな医療計画の3年後の中間年での見直しに向け、在宅医療の取組み状況を把握するために、都道府県に確認を求める事項を了承した。

 

全日病ニュース2018年3月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 有床診療所・病院火災対策報告書

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2014/140704_1.pdf

    2014年7月4日 ... 所連絡協議会). 47. ・ 添付資料6 防火設備に係る緊急調査報告(全国自治体病院協議
    会) 62. ・ 添付資料7 病院におけるスプリンクラー設置に関する調査結果(日本医. 師会
    ). 69. ・ 添付資料8 有床診療所等における火災時の対応指針(消防庁) .... 診療所の
    設置基準 当該診療所の設置義務. 設置の有無. 消火器具. 150 ㎡. 有. 有. 屋内消火栓
    設備. 700 ㎡. 無. 有. 自動火災報知設備. 300 ㎡. 有. 有. 消防機関へ通報す. る火災
    報知設備. 500 ㎡. 有. 無. (特例免除:固定. 電話). 避難器具. 20 人. 有. 有.

  • [2] <報告 有床診と中小病院の防災体制をめぐる議論>スプリンクラー ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20140501/news12.html

    2014年5月1日 ... 報告○有床診と中小病院の防災体制をめぐる議論>スプリンクラー:一定面積の医療
    機関に義務化という方向で議論|第823回/2014年5月1日号 HTML版。21世紀の
    医療を考える「全日病ニュース」は、全日本病院協会が毎月1日と15日に発行する機関
    紙です。最新号から3ヶ月前まではヘッドライン版 ... には有床診の経営の難しさがある。
    委員からは、スプリンクラー設置が義務化された場合、無床診療所へと転換する
    あるいは診療所を閉じてしまうケースが起こりかねないという懸念が示されている。

  • [3] 医療計画について(厚生労働省医政局長:H29.3.31)

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2017/170403_2.pdf

    2017年3月31日 ... に基づき、特例として. の取扱いを受ける数について厚生労働大臣に協議するときは、
    特例としての取扱い. を必要とする理由及び特例としての取扱いをしようとする病床数の
    算定根拠等を. 記載した申請書(別紙様式1、2)に当該都道府県医療審議会の意見を
    附すること。 5 既存病床数及び申請病床数について. (1) 医療法施行規則(昭和23年
    厚生省令第50号。以下「規則」という。)第30条の33. 第1項第1号により国の開設する
    病院又は診療所であって宮内庁、防衛省等の所管. するもの、特定の事務所 ...

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。