全日病ニュース

電子カルテの仕様の標準化で医療部会が一致

【厚労省・医療部会】厚労省に検討を要請

　社会保障審議会・医療部会（永井良三部会長）は７月27日、地域医療連携や費用削減の観点から、各業者が開発する電子カルテなどのシステムの仕様を標準化すべきとの意見で一致した。全日病会長の猪口雄二委員が「電子カルテが統一化されれば、様々な利活用が見込まれる」と述べたのを皮切りに、賛成意見が相次ぎ、永井部会長も「「次世代電子カルテシステムの構築に向け、検討してほしい」と厚生労働省に要請した。政府の「未来投資戦略2018」にも「データ共有を行うための標準規格等を策定する」とあり、電子カルテの仕様の標準化が大きく前進することが期待される。
　病院団体は電子カルテの導入や更新に多額の費用がかかり、医療連携を進める上で妨げとなっていることを問題視している。診療報酬による手当もないことから、日本病院団体協議会の改定要望に盛り込んで働きかけてきた。地域で医療機関同士が医療連携を進めようとしても、互換性のない電子カルテでは、データを連結できないなどの不都合が生じている。
　猪口委員はこれらを踏まえ、国が主導して電子カルテの仕様を標準化することを主張。多くの委員の賛同を得た。日本医療法人協会会長の加納繁照委員は、「電子カルテの費用は病院経費の1.5％を占め、経常黒字を相殺してしまう水準」と述べ、電子カルテの標準化は病院収支の改善につながると強調した。
　同日の医療部会ではそのほか、「医師の働き方改革に関する検討会」、「地域医療構想の進捗および病床機能報告制度の見直し」、「医療放射線の適正管理に関する検討会の検討状況」、「骨太方針2018」、「医療法および医師法の一部を改正する法律の成立」の報告があった。
　医療放射線の適正管理に関する検討会の検討状況については、同検討会がまとめた「議論の整理」が説明された。それによると、医療放射線の安全管理を病院管理者が管理すべき体制の一つとして位置づけ、新たな規則を省令に追加する。具体的には、「医療放射線に係る安全管理」を新たに設けて、「指針の策定」や「職員研修の実施」、「医療被ばくの線量管理」、「医療被ばくの線量記録」などの規定を整備する。
　線量記録や線量管理の対象は、CTエックス線装置、血管造影検査に用いる透視用エックス線装置、診療用放射線同位元素ならびに陽電子断層撮影診療用放射性同位元素を用いた診療としている。関連学会などが策定したガイドラインなどを参考に、患者の被ばく線量を検証できる様式を用いて行う。
　秋までに省令改正案を医療部会に示し、了承されればパブリックコメントを経て、省令を改正する予定だ。