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4年間の補てん不足は病院全体で1千億円程度

4年間の補てん不足は病院全体で1千億円程度

【四病協・総合部会】「抜本的な対策が必要」(猪口会長)

 四病院団体協議会は7月25日に総合部会を開き、控除対象外消費税の補てん不足の問題を中心に議論した。消費税が8%に引き上げられた2014年度以降の補てん不足は、病院全体で1千億円程度とされる。全日病の猪口雄二会長は、「本来補てんされるべきものが補てんされていない」と訴え、過去の補てん不足に対する対応を検討する必要があるとした。

 診療報酬だけの対応は限界
 総合部会では、補てん不足の問題をめぐり、様々な意見が出た。終了後の会見で猪口会長は、「(基本診療料を中心に補てんを行った)2014年度診療報酬改定以降、全体では補てんされているという前提が崩れた。すぐに正しい検証ができていれば、2016年度、2018年度改定で対応できたはずだ。本来補てんされるべきものが補てんされていない」と語気を強めた。
 病院間のばらつきが大きいことについては、「厚労省は今後、病院の特性を細かく分類し、精緻な対応を図ることを分科会で議論するというが、高額投資の問題を含め、診療報酬だけで対応するには無理がある。抜本的な対策が必要ではないか」と述べた。
 日本医療法人協会の伊藤伸一会長代行は、病院経営に与えた影響に言及。2016年度の結果から、病院1施設当たりの補てん不足である314万5千円に病院数を乗じると年間で265億円程度の補てん不足があり、4 年分だと1千億円を超えると試算(病院類型ごとの集計だと888億円)。近年、低下傾向にある病院の経常黒字を失わせる水準であると強調した。
 また、病院団体が2016年度改定以降に独自で調査した結果があり、それによると、今回修正されたものに近い補てん率だった。しかし、厚労省の「マクロでは概ね補てんされている」という結果と齟齬があり、対象病院も少なかったことから、積極的に喧伝しなかった経緯がある。これについて、伊藤会長代行は「忸怩たる思いだ」と述べた。
 総合部会議長の山崎學・日本精神科病院協会会長は、「補てん不足は利子をつけて病院に戻すべき」と主張した。
 今後の対応について、四病協としては、特に、補てん率の低い特定機能病院や公立病院の意見を踏まえつつ、医療界として対応するために、日本医師会とも連携し、慎重に対応を図る姿勢だ。


左から会見する猪口会長、山崎会長、伊藤会長代行

 

全日病ニュース2018年8月15日号 HTML版

 

 

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