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ホーム全日病ニュース(2019年)第944回/2019年7月15日号厚労省が医療機器の効率的な運用の推進求める...

厚労省が医療機器の効率的な運用の推進求める

厚労省が医療機器の効率的な運用の推進求める

【中医協総会】「救急医療でCT・MRIは自院に必要」猪口会長

 中医協総会(田辺国昭会長)は6月26日、次期診療報酬改定に向け、医薬品・医療機器をテーマに議論を行った。厚生労働省はCT・MRIなどの設置台数が日本は海外と比べ多く、1台当たりの検査数が少ない現状を指摘。医療機器の効率的な利用を推進する観点での論点を示した。
 厚労省によると、CTの台数は人口100万人当たり101台、MRI は47台。OECD 平均の25台、14台と比べ、かなり多い。年々増加傾向にあるが、高機能の診断装置が全体に占める割合は低い。一方で、1台当たりの検査数は先進国で最少だ。
 診療報酬の対応では、2014年度改定で高機能の診断装置を共同利用施設で用いた場合の点数を高くしている。その結果、共同利用施設でのCT撮影はその後の1年間で3%、MRIは28%増加した。また、ポジトロン断層撮影については、施設共同利用率が30%を下回る場合に、2割減算される。骨太方針2018では高額医療機器の共同利用の推進など効率的な配置が謳われた。
 これらを踏まえ、医療機器の効率的な運用のさらなる推進を論点とした。これに対し、全日病会長の猪口雄二委員は、「共同利用の推進に反対はしない。ただ、救急医療で緊急である場合や動かせない患者は自院にCT・MRIがないと現場が成り立たない現実がある」と配慮を求めた。他の診療側の委員からも、初期段階から適切に検査を行い、治療に結び付けていくことの重要性を指摘する意見が出た。

ポリファーマシー防止の評価には慎重
 医薬品については、ポリファーマシー(多剤服用で害があるもの)の防止やフォーミュラリー(医薬品の使用方針)を推進する上での診療報酬の対応が議論されたが、適切な医薬品の使用に向けた取組みが重要との認識では一致しつつ、診療報酬で評価することに対しては慎重な意見が多かった。
 現状で、減薬などの評価は、入院時と退院時で薬剤が減少した場合を評価する「薬剤総合評価調整加算」(250点)がある。外来では、受診時の薬剤の減少を評価する「薬剤総合評価調整管理料」(250点)や薬局との「連携管理加算」(50点)がある。薬局は「服用薬剤調整支援料」(125点)で、薬剤師が医師に減薬の提案を行い処方薬が減少した場合を評価している。「疑義照会」による処方内容の変更を評価する「重複投薬・相互作用等防止加算」(40点)もある。
 猪口委員は「ポリファーマシーは大きな問題で、適切な対応が課題となっている。多剤服用の管理について、入院は比較的取り組みやすいが、外来では他の医療機関から処方された薬も管理しなければならず、調整が難しい」と複数医療機関での薬剤管理の難しさを指摘した。
 ポリファーマシーについては、東京大学医学部附属病院の入院時の持参薬評価テンプレートを用いた薬剤師によるスクリーニングの取組みや、国立長寿医療研究センターの多職種連携による総合的な処方見直しなどの事例が示された。
 フォーミュラリーについても、浜松医科大学医学部附属病院や聖マリアンナ医科大学など大学病院の取組みや、日本海ヘルスケアネットなど地域フォーミュラリーの取組みが紹介された。使用指針の基準に基づく推奨薬効群リストの作成や、地域全体のステークホルダーが参加する取組み事例などが説明された。
 委員からは、これらの取組みの重要性を指摘する意見が相次いだが、診療側・支払側の双方から、診療報酬として評価することには難しさがあり、慎重に議論するべきとの意見が多かった。

支払側が機能強化加算の調査で患者の認知度をきく質問求める

 中医協総会は同日、2018年度診療報酬改定の結果を検証する2019年度調査の調査票案を了承した。項目には、◇かかりつけ医機能等の外来医療◇医療従事者の負担軽減、働き方改革◇かかりつけ歯科医機能や歯科疾患管理料◇かかりつけ薬剤師、薬局◇後発医薬品の使用促進策の影響──がある。
 この中で、かかりつけ医機能等の調査などは2018年度調査でも実施している。改定後の継続的な調査を行うためで、2020年度改定の議論に間に合うよう7~8月にこれらの調査を実施する。
 調査票案は了承したものの、支払側の委員が、「2018年度改定で導入した機能強化加算の患者の認知度をきく質問項目を設けるよう要請したのに、入っていないことを抗議する。別途、NDBで機能強化加算を算定した患者の疾患や受診の状況を調べるべきだ」と主張した。これに対し、診療側の委員は、「患者の多くは個別の診療報酬項目のことは知らない」と反論した。

 

全日病ニュース2019年7月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2019年5月15日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2019/190515.pdf

    2019年5月15日 ... 腔機能管理の推進、ポリファーマシー. 対策などを論点とした。 ... を患者に返却する。
    青年期~中年期、高齢期、人生の最終段階の課題を議論. 中医協総会. 関連する診療
    報酬項目で意見の応酬 ... する三次救急ももたない。救急医や総. 合診療専門医だけで
    なく、すべての医. 師が総がかりで救急医療に対応しなけ. ればならない」 ...

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2018年8月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2018/180801.pdf

    2018年8月1日 ... 猪口会長が衆議院厚労委で参考人として発言. 厚生労働省の「救急・災害医療提供 .....
    5月23日の中医協総会で、「入院医. 療等の調査・評価分科会」と「DPC評 ...... 特に、①
    フレイル②ポリファーマシー. ③医療・介護連携─の分野で、特に期.

  • [3] 全日病ニュース・紙面PDF(2018年4月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2018/180401.pdf

    2018年4月1日 ... 同日、中医協総会(田辺国昭会長)は、 ...... 救急医療は、二次救急を充実させた。二次
    救急医. 療機関の重症救急患者受入れに対応するため、専任. の看護師を配置する
    評価として、夜間休日救急 ...... つながるものをポリファーマシーとし、.

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