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シームレスな医師養成に向けた議論を開始

シームレスな医師養成に向けた議論を開始

【医道審・医師分科会】共用試験と医学生の医行為見直しを検討

 医道審議会の医師分科会(中谷春昭分科会長)は6月19日、シームレスな医師養成に向けた議論を開始した。現状で、医学部教育と臨床研修制度に分断があることから、医学部教育でより実践的な臨床が学べるよう共用試験(CBT、OSCE)を公的にすることや、医学生が行える医行為の見直しなどを検討する。厚生労働省は年内に一定の方向性を示す意向を示している。
 昨年成立した改正医療法等では、附則に「臨床実習をはじめとする医学に係る教育の状況を勘案し、医師の資質の向上を図る観点から、医師法の規定について検討」し、公布後3年以内に法的措置を講じるとの文言が入った。
 医師不足問題も背景にあり、医学部を卒業した医師が、プライマリ・ケアの現場などで、できるだけ早く臨床に携わることが求められている。しかし現行の臨床実習は見学が中心で、「実習の実践性が乏しく、習得度が高くない」との指摘がある。また、卒前・卒後の研修内容に重複が生じている。諸外国と比較しても、臨床実習と臨床研修を合わせた期間が長く、非効率が生じているという。
 厚労省は今回、◇CBT、OSCE(客観的臨床能力試験)を公的にする◇(共用試験に合格した)スチューデント・ドクターの位置づけやその医行為の法制化─の2点を論点として提示した。
 OSCEは、筆記試験より臨床技能の評価に適し、態度やコミュニケーション能力の評価も行えると評価されている。来年度に臨床実習終了時のOSCEの全医学部での導入を予定する。また、医学生の医行為については、2018年7月に「医学部の臨床実習において実施可能な医行為の研究」(門田レポート)が公表されている。
 同日の議論では、いずれの論点についても、賛否両論があった。慎重な意見では、共用試験を公的にすることに対し、「医学部が医学教習所になってしまう」、「倫理やモラルという医師としての人格形成のために教育が軽視される」などの意見が目立った。スチューデント・ドクターの医行為に対しては、「医行為の侵襲性が高まっている。卒後研修で指導医の下で身につけるべき」との消極的な意見と「国民に医師を育てる覚悟を明示して、同意を得るべき」との積極的な意見があった。

 

全日病ニュース2019年7月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 医学生が行う医行為を拡大の方向で整理|第924回/2018年9月1日号 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20180901/news12.html

    2018年9月1日 ... 医学生が行う医行為を拡大の方向で整理. 【厚労省研究班報告書】円滑な臨床研修に
    向け臨床実習を充実. 厚生労働省は7月31日、「医学部臨床実習において実施可能
    な医行為の研究」を公表した。医学生が、臨床実習で行うことのできる ...

  • [2] 厚生労働省医政

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2018/180801_8.pdf

    2018年7月30日 ... 遂げ、医学生が経験・修得すべき医行為も多様化してきたことを踏まえ、診療参. 加型
    臨床実習をさらに充実させていくため、平成 29年度厚生労働行政推進調査. 事業費
    による「医学部臨床実習において実施可能な匡行為の研究J(研究代表.

  • [3] 共用試験や医学生の医行為を公的、法的に位置づけ|第905回/2017 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20171101/news05.html

    2017年11月1日 ... 卒後研修ですぐに地域医療で活躍できる医師の養成に向け、共用試験のCBTや医学生
    が行える医行為を公的、法的に ... 全国80の医学部・医科大学すべての臨床実習前の
    進級判定で用いられており、CBT(コンピュータを使った知識を中心に ...

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