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ホーム全日病ニュース(2019年)第944回/2019年7月15日号療養病棟の医療区分3で「中心静脈栄養」の該当が多い...

療養病棟の医療区分3で「中心静脈栄養」の該当が多い

療養病棟の医療区分3で「中心静脈栄養」の該当が多い

【中医協・入院医療分科会】入退院支援加算算定病院で平均在院日数短縮

 中医協の入院医療等の調査・評価分科会(尾形裕也分科会長)は7月3日、入院医療に関する2018年度診療報酬改定の結果検証の調査を基に、療養病棟や入退院支援をテーマに議論を行った。療養病棟入院料の届出の基準である医療区分3の該当患者割合について、「中心静脈栄養」で該当患者を満たす病棟が多いという調査結果を厚生労働省が示すなど、今後の改定論議の論点を示唆する内容が示された。
 療養病棟入院基本料では、医療が必要な状態・処置を医療区分2・3で列挙し、これに該当する患者割合で「療養病棟入院料1」と「2」を区別している。該当患者割合は「1」が8割以上で、「2」が5割以上。医療区分とADL区分の組み合わせで点数が決まり、「1」の点数が高い。看護職員配置は2018年度改定でどちらも20対1になった。医療区分2・3の該当患者割合を2017年度と2018年度の平均で比べると、「1」では88.5%から90.4%に上がった。「2」では62.4%から68.1%に上がった。
 医療区分3の要件である項目の該当患者割合をみると、「中心静脈栄養」が「1」で53.7%、「2」で58.3%となっており、際立って高い。次に高い項目は「酸素療法」で「1」が25.5%、「2」で24.0%、2018年度改定で厳格化した「常時監視・管理」は「1」が22.9%、「2」が8.5%であった(下図を参照)。
 医療区分2の患者の最も高い項目は、「1日8回以上の喀痰吸引」で「1」が36.4%、「2」が29.5%、次いで「酸素療法」が多く、「1」が14.8%、「2」が14.7%となっている。
 同日の分科会では、医療区分3の「中心静脈栄養」の該当患者割合が高いことをめぐり議論になった。療養病棟の在院期間は700日超えが「1」で30.6%、「2」で23.6%を占める。また、医療区分3では約8割が死亡退院である。
 これに関して、委員から「療養病棟が看取りの場所になっているのを感じる。食べられない状態で、胃ろうは忌避される傾向にあるので、中心静脈栄養になるという話もきく。看取りの体制のあり方を含め、医療ニーズに対応した医療提供が行われているかをしっかりモニターしてほしい」との要望があった。これに対し日本慢性期医療協会の池端幸彦委員は、「急性期からの重症患者を治療して、結果として亡くなるというのが多く、看取り場所というのは違和感がある。中心静脈栄養も急性期病院からの持ち込みであり、療養病棟で入れるのは少ない」と反論した。
 全日病副会長の神野正博委員は、「中心静脈栄養」に該当する患者が3カ月後も同じ「中心静脈栄養」に該当している割合が7~9割であることを指摘し、「カテーテル感染の観点で問題がある」と述べた。また、「栄養面で考えれば、中心静脈栄養より経管栄養の方が間違いなく望ましい」と強調し、ACPなどの取組みで患者・家族の意向が促進されることを求めた。
 さらに、医師の働き方改革の観点から、療養病棟が地域包括ケア病棟に転換する場合の医療法における医師配置の問題を指摘した。医療法で一般病棟の医師配置は16対1、療養病棟は48対1となっている。療養病棟からも地域包括ケア病棟に転換できるが、診療報酬で医師配置は規定していないので、48対1で変わらない。医師の働き方改革で、医療の質を維持しつつ、医師を確保することが課題となる中で、医師配置基準をそろえることや、地域包括ケア病棟の区分を変更することが論点になり得ると主張した。

入退院支援の専従・専任要件が論点に
 入退院支援では、2018年度改定で名称を「退院支援加算」から変更し、入院時からの介入を評価した「入退院支援加算」の状況が詳細に示され、要件緩和が検討されることが示唆された。
 今回の調査結果で、入退院支援加算の見直しの影響とは一概に言えないものの、入退院支援加算1・2の届け出状況で、加算を届け出ている病院で平均在院日数が短くなる傾向がみられた。一方、病棟の入退院支援の「専従」と「専任」の職員の配置で、入退院支援に関する効果で差は確認できなかった。ただ、神野委員はデータが不十分と指摘し、厚労省に追加的な分析ができる資料を求めた。

 

全日病ニュース2019年7月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 1割の病院で転換。新たな基準に高い実績で応える7対1病院

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20150615/news07.html

    2015年6月15日 ... 重症度、医療・看護必要度」A項目の見直しにもかかわらず、その該当患者割合は改定
    前と大きく変わることはなく、特定 .... 医師による指示の見直しがほとんど必要のない
    患者のうち、医療区分3では「酸素療法」「中心静脈栄養」に該当する ...

  • [2] Untitled

    http://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2006/20060413/shiryo/5.pdf

    2006年4月13日 ... 数は、当該療養病床の入院患者の数が四又はその端数を増すごとに一以上であること
    。 .... は、該当するもののうち最も高い点数の区分)に従い、当該患者ごと ... で除して
    算出した割合 ... 医療処避. ; |: : 5 6 7 9 0 }} 12 3 4 5 7 12 19 21 22 22 27 28 29 0 1.
    3 中心静脈栄養を実施している状態. 4 24時間持続点滴が必要な状態.

  • [3] 報告書

    https://www.ajha.or.jp/voice/pdf/other/140414_6.pdf

    2013年10月1日 ... ADL 区分について比較すると、ADL 区分 2・3 の(ADL が低い)入院患者/入所者の
    割合は、介護老人. 保健施設や老人性 ...... 受け入れ実施割合医療機関で大きく介護
    施設で小さい状態像としては、「気管切開」「中心静脈栄養」. 「経鼻経管 ...

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