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ホーム全日病ニュース(2020年)第958回/2020年3月1日号新型コロナウイルスで船内の感染症対策に危機感を表明

新型コロナウイルスで船内の感染症対策に危機感を表明

新型コロナウイルスで船内の感染症対策に危機感を表明

【四病協・総合部会】各団体の医療支援チームの対応協議

 四病院団体協議会は2月19日、代表者会議を開き、新型コロナウイルスの感染状況をめぐり協議。横浜港に停泊している大型客船(ダイヤモンド・プリンセス号)に、各病院団体が医療支援チームを送っている状況で、医療従事者への感染防止対策が不十分であることに危機感を表明した。
 会見で、日本精神科病院協会の山崎學会長は、「感染症対策の専門家による対応がない限り、DPAT(災害派遣精神医療チーム)は引き上げざるを得ない」と述べた。DPAT は2月1日に新型コロナウイルスへの対応で本部を立ち上げ、大型客船へは6日以降、延べ15人の医療従事者が船内に入っている。隔離された船内で感染が拡大している可能性が高いと指摘した。
 四病協は、医療用マスクの需給逼迫を受け、全国の医療機関に不足が生じない対応も政府に要請する考えを示した。日本医療法人協会の加納繁照会長が、すでに感染者が発生している医療機関に医療用マスクが行き渡ることを前提に、「拠点病院だけでなく、地域の一般病院への供給も考慮してほしい」と強調した。地域の病院で医療用マスクが不足すれば、感染症対策だけでなく、手術など医療提供にも深刻な影響を及ぼしかねないとした。
 最近の医療行政に対しては、厚労省の医師需給分科会が将来の必要医師数などを推計し、医学部入学定員の臨時増員分の削減を検討していることに対し、推計の全体に疑義があるとの意見が相次いだことが報告された。「地域の病院では医師不足が続いており、全体で医師は足りないとの認識だ。実態に合った前提で需給推計を行うべきだ」と主張した。具体的には、医師の働き方改革との整合性や女性医師が増えることへの考慮を求めた。医師養成数の削減の方針が先行していることに不満をにじませた。
 薬剤師の養成と資質向上に関する検討会を厚労省が予定していることについては、病院薬剤師が不足している現状を踏まえ、病院団体として積極的に発言していく姿勢を示した。薬剤師の総数は医師と同様に、養成数を抑制していく方向性にある中で、病院ではなく、薬局に行ってしまうことの制度的な対応などを議論していく。

 

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