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ホーム全日病ニュース(2020年)第963回/2020年5月15日号医療従事者の確保策への協力を厚労省が要請

医療従事者の確保策への協力を厚労省が要請

医療従事者の確保策への協力を厚労省が要請

【医療関係団体と厚労省の協議会】離職防止や有資格者の掘り起こし策が課題

 厚生労働省が主催する「新型コロナウイルス対応に関する医療関係団体及び厚生労働省による協議会」が4月23日に開かれた。医療従事者の確保策を中心に厚労省と関係団体が意見交換した。医療崩壊を起こさせないため、新型コロナウイルス感染症患者が入院するベッドの確保とともに、医療従事者の確保が喫緊の課題となっている。厚労省は、医療関係団体や大学、学会に協力を呼び掛けた。
 同日の協議会は、加藤勝信厚労相も参加し、オンライン会議で開催された。
 厚労省は、都道府県に医療人材の適切な配置を求めている。新型コロナウイルス感染症患者が増大し、医療提供体制がひっ迫した場合に、医療機関が不要不急の診療を延期するなどの対応を行った上で、新型コロナウイルス感染症患者への対応と一般診療への対応で、どの程度医療従事者を派遣できるかを整理する必要があるためだ。
 医療人材の配置調整は、医師では医師会・大学など、看護師などでは看護協会、臨床検査技師では臨床検査技師会、臨床工学技士では臨床工学技士会が中心になって、各職種の職能団体が都道府県と連携することが期待される。
 人材確保策は、大きく3つある。①現場で従事している医療従事者の離職防止②潜在有資格者の掘り起こし③医療現場の人材配置の転換─である。
 離職防止策では、医療従事者の保育所・放課後児童クラブの優先利用などを自治体に要請するとともに、2020年度補正予算で手当てされる緊急包括支援交付金で、医療従事者向けの宿泊施設を確保するとしている。医療従事者が感染を恐れて住民から忌避されるなど、精神的負荷を軽減する対策も必要とされている。
 潜在有資格者の掘り起こしでは、関係団体と連携した広報や、ハローワークへの医療従事者の積極的な職業紹介の指示、民間職業紹介事業者の活用を図るとしている。
 人材の配置の転換では、緊急包括支援交付金を活用し、「都道府県調整本部の機能強化・団体等との連携強化」、「ニーズの高い地域への人材投入」を図る。診療科・担当分野の枠を超えた連携促進も関係団体に要請する。
 各専門職の具体策をみると、医師に関しては、入院機能の強化を主に大学・関係団体、診療所機能強化・特設外来・施設療養・自宅療養フォローアップを主に医師会に協力を要請する。なお、育休などで休養中の医師は、約6千人と見積もっている。

医療機関調査システムの状況を報告
 各都道府県が新型コロナウイルス感染症患者に対応している医療機関の状況を把握するための「COVID ‐ 19対策WEBフォームを用いた医療機関調査システム」の状況が報告された。
 4月8日時点で3,830病院だった登録医療機関数(うち感染症指定医療機関は262病院)は、4月21日時点で5,365病院(同394病院)にまで増加した。このうち、情報を報告しているのは4月8日時点で2,663病院(同165病院)、4月21日時点で3,763病院(同320病院)となっている。
 活用例としては、◇政府CIOポータルにおいて、各病院の医療提供状況を可視化◇マスク等物資の供給◇空床確保状況を患者搬送の調整─がある。今後の課題では、より多くの病院の参加が求められるとともに、医療機関へのフィードバックの強化や調査項目のブラッシュアップをあげた。

 

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