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ホーム全日病ニュース(2020年)第967回/2020年7月15日号小児脳腫瘍に対するエヌトレクチニブ経口投与を承認

小児脳腫瘍に対するエヌトレクチニブ経口投与を承認

小児脳腫瘍に対するエヌトレクチニブ経口投与を承認

【厚労省・患者申出療養評価会議】自己負担軽減の検討求める意見も

 厚生労働省の患者申出療養評価会議(福井次矢座長)は6月25日、患者申出療養の新規技術として「ROS1融合遺伝子陽性進行性小児脳腫瘍に対するエヌトレクチニブ経口投与に関する患者申出療養」を承認した。適応症は進行性小児脳腫瘍。使用する抗がん剤はロズリートレク(中外製薬)。実施医療機関は名古屋大学医学部附属病院となっている。
 技術概要は、保険適用済みの遺伝子パネル検査で、ROS1融合遺伝子陽性が判明した15歳以下の局所進行性脳腫瘍患者に、1コースを28日としてエヌトレクチニブを1日1回連日経口投与し、有効性と安全性を評価するもの。エヌトレクチニブはROS1融合遺伝性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに適用があり、小児脳腫瘍患者での腫瘍縮小などを期待する。
 抗がん剤のロズリートレクの費用は中外製薬が負担するが、投与の際の人件費や検査費用は、患者申出療養の仕組みの中で、患者側が負担する。
 具体的には、保険給付されない費用は77万7千円、保険給付される費用は123万9千円、一部負担金は53万千円となっている。委員からは、患者負担の大きさを懸念する意見があった。現行で負担を軽減する制度はないことから、今後の検討が求められた。 
 また、「マルチプレックス遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく分子標的治療」の実施医療機関に、大阪大学医学部附属病院が追加された。

 

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