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ホーム全日病ニュース(2021年)第980回/2021年2月15日号新型コロナ回復患者の受入れで救急医療管理加算を算定

新型コロナ回復患者の受入れで救急医療管理加算を算定

新型コロナ回復患者の受入れで救急医療管理加算を算定

【厚労省事務連絡】感染拡大受け、後方支援の機能の強化図る

 厚生労働省は1月22日、新型コロナの感染拡大を踏まえ、診療報酬による新たな医療機関への支援策を事務連絡で示した。新型コロナ感染症から回復した患者の受入れについて、従来の特例の二類感染症患者入院診療加算の3倍(750点)に加え、救急医療管理加算(950点)を90日まで、入院料に加算して医療機関が算定できるようにする。急性期病院の病床逼迫を受け、後方支援の機能を強化することが狙いだ。
 「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その34)」で示した。適用は1月22日からとなっている。
 救急医療管理加算を新たに加算できるのは、新型コロナの退院基準を満たし、入院の勧告・措置が解除された回復患者。最初に転院した医療機関における入院日を起算日として90日を限度に算定できる。2回目以降の転院についても算定できるが、最初に転院した医療機関における入院日が起算日となる。
 例えば、療養病棟入院基本料1入院料Aの場合、入院料は患者1人当たり1日で1,813点。これに二類感染症患者入院診療加算の3倍の750点と救急医療管理加算の950点をあわせ、3,513点を算定できる。
 また、新型コロナ患者として入院し、特定集中治療室管理料等の算定上限を超えてもなお、ECMOが必要な場合や、ECMOを離脱したものの人工呼吸器からの離脱が困難である患者への取扱いも示した。そのような患者に対しては、特定集中治療室管理料等の算定上限を超えても、算定できるようにする。適用は1月22日から。
 新型コロナからの回復患者に対する救急医療管理加算の算定は、回復期リハビリテーション病棟入院料などでも、認められる。
 田村憲久厚労相は1月22日の閣議後会見で、「新型コロナ患者が回復をするまでの間、つまりコロナは治ったが、その後自宅に帰るまでの間、受け皿として病床が必要なので、そこをこういう形でしっかり確保した上で、新型コロナ病床というものを増やしていく」と述べた。
 なお、療養病床については、1月13日の事務連絡で、新型コロナ患者を受け入れた場合、一般病床とみなして病床確保料の対象にできるようにしている。診療報酬では、都道府県から受入れ病床として割り当てられた療養病床に、新型コロナ患者を受け入れた場合、一般病棟入院基本料の特別入院基本料(607点)の算定となる。これに入院期間に応じた加算や二類感染症患者入院診療加算、救急医療管理加算の3倍の点数を加えると、厚労省の計算だと、1日当たり4,007点が算定できる。

中医協での審議を経ずに事務連絡
 1月27日の中医協総会(小塩隆士会長)では、1月22日のこのような診療報酬の特例の事務連絡をめぐって議論が行われた。
 特に、新型コロナの回復患者を受け入れた療養病床などが、救急医療管理加算を特例で算定できることを、中医協の了承を得ずに決定したことに対し、健康保険組合連合会理事の幸野庄司委員が苦言を呈した。厚労省は、「同様の考え方の特例はすでに中医協で認められているので、今回はその範囲を広げたという認識。このため事務連絡で明確化を図った」と理解を求めた。
 厚労省の説明によると、これまで一般病床で、新型コロナ患者が回復するまでを想定して、特例で救急医療管理加算を算定できるようにしてきた。それを今回は、「途中で療養病床などに転院するということを想定し、これまでの特例の考え方を流用して、その範囲を広げたということ。元々、一般病床で完結させることを考えたが、感染拡大で状況が変わり、それに合わせた」という。
 日本医師会の松本吉郎委員は、「診療側として、今回の進め方に異論はない。新型コロナが感染拡大している中での迅速な対応であり、まったく問題ない。新型コロナの回復患者で転院する流れが目詰まりしている問題があり、診療報酬で改善できる対応として実施された。コロナ患者受入れ病床として割り当てられた病床は、一般病床の対応として考えるということで理解できる」と述べた。

 

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