全日病ニュース

2022年度改定に向け医療経済実態調査の実施案を了承

【中医協・調査実施小委】単月調査の実施は新型コロナ状況をみて判断

　中医協の調査実施小委員会（秋山美紀小委員長）は２月３日、2022年度診療報酬改定の参考となる医療経済実態調査の実施案を了承した。通常の２年度分の損益データに加え、単月の調査を実施することについては、新型コロナの感染状況を注視しつつ、春頃に決定することになった。５月になっても、緊急事態宣言が発令されている状況下であれば、実施は難しいとの考えを厚生労働省は示した。
　前回の１月13日の小委員会に引続き、医療経済実態調査の実施方法を議論した。２年度分の損益データだけだと、新型コロナの医療機関の経営への影響が大きいため、2019年度と2020年度の損益データを比べても、2020年度改定の影響を把握するのが困難な状況だ。「重症度、医療・看護必要度」や地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟の入院料見直しなどが、2020年度は経過措置が延長され、実施されていないという事情もある。
　このため支払側の委員は、コロナの影響が小さいと考えられる単月調査の追加を主張していた。診療側は、医療機関の負担が大きく、単月調査を実施しても把握の難しさはあまり変わらないため、難色を示していた。今回、厚労省は、調査項目を簡素化した上で、新型コロナの感染状況を見極めて判断することを提案した。具体的には、５月までに新型コロナの感染状況を注視し、実施可能と判断されれば、６月の単月を調査する見通しだ。

コロナ患者受入れ状況を把握
　新型コロナの影響が、医療機関の新型コロナ患者の受入れ状況によって異なるという指摘に対しては、◇病院の基本データの項目に「重点医療機関・協力医療機関の指定状況」を追加◇病院の基本データの項目に「新型コロナウイルス感染症入院患者の受入状況」を追加◇一般診療所の基本データの項目に「診療・検査医療機関の指定状況」を追加◇一般診療所の基本データの項目に「新型コロナウイルス感染症疑い患者の受入状況」を追加─を行うことで対応する。
　日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦（診療側）委員は、追加項目に賛意を示した上で、「新型コロナ回復患者を回復期、慢性期の病棟で受け入れることを評価する診療報酬の特例が講じられたところだが、受入れ状況を把握する項目を追加してはどうか」と提案した。
　決算月が異なれば、新型コロナの医療機関への影響も異なるとの指摘に対しては、厚労省から、「３月決算の施設のみを集計した結果も公表する」との案が示された。これに対しては、公益委員で一橋大学教授の新井耕委員が、「病院は全体の４分の３が３月決算。診療所は医療法人であれば18％に過ぎない。医療経済実態調査は様々な集計区分が設けられ、客体数が小さくなる区分があるので、客体により相当ぶれるリスクがある」と注意を促した。
　有効回答率を向上させるための工夫も行う。具体的には、◇診療側関係団体への協力依頼を引続き実施。協力依頼先の追加◇回答のインセンティブを与えるため、調査票等とあわせて、経営状況のフィードバックの見本を送付◇フォントやレイアウト等を工夫し、より見やすく記入しやすい調査票に変更する◇記入者負担の軽減や誤記入防止の観点から、電子調査票の利用を促進する─を実施する。