全日病ニュース

全日病ニュース

新型コロナ対策の全体像を示す

新型コロナ対策の全体像を示す

第6波に備え3.7万人の入院体制を構築

 政府の新型コロナウイルス感染症対策本部は11月12日、この冬に予想される「第6波」に備え、新型コロナ対策の全体像を決定した。感染力が2倍となった場合に対応できるよう、臨時の医療施設を含めて病床確保を進め、今夏のピーク時に比べて3割増の3.7万人が入院できる体制を11月末までにつくる考えだ。

感染力2倍の場合に対応
 全体像は、最悪の事態を想定して次の感染拡大に備えるため、感染力が2倍になった場合にも対応できるよう、医療提供体制の強化、ワクチン接種の促進、治療薬の確保を進め、感染リスクを引き下げながら、経済社会活動の継続を可能とする新たな日常の実現を図るための方策を示している。
 医療提供体制の強化では、今夏の第5波で入院が必要になった2.8万人よりも、3割増(約1万人)の3.7万人が、入院できる体制を11月末までに構築する。
 あわせて、入院調整中の人を受け入れるため、臨時の医療施設・入院待機施設を確保。今夏と比べ、約4倍弱の約3.4万人が入所できる体制をつくる。
 公立・公的病院の専用病床化を進めるとともに、確保した病床が確実に稼働できるように、都道府県と医療機関の間において要請から病床を確保するまでの期間などを明確化した書面を締結。感染ピーク時において、確保病床の使用率が8割以上となるようにする。緊急包括支援交付金の病床確保料は、来年1月以降も継続する。

パルスオキシメーターを配布
 自宅・宿泊療養者の対応では、すべての人について陽性判明の当日ないし翌日に連絡をとり、健康観察や診療を実施できる体制を確保する。
 宿泊療養施設についても、約6.1万床を確保。すべての自宅療養者にパルスオキシメーターを配布できるよう、約69万個を確保する。
 経口薬については、かかりつけ医と地域の薬局が連携することで、患者が薬局に行かなくても入手できる環境づくりを支援する。
 感染拡大時に病床・施設を円滑に稼働させるため、医療人材について、都道府県において人材確保・配置調整を一元的に担う体制を構築する。
 G-MISやレセプトデータを活用して、医療機関の稼働状況を「見える化」する。病床の確保・使用状況を日々共有できる体制を構築するとともに、医療機関におけるG-MISへの入力を徹底することにより、12月から医療機関別の病床の確保・使用率を毎月公表する。

さらなる感染拡大に備える
 感染力が3倍の変異株が出現した場合には、国民に対してさらなる行動制限を求めるとともに、医療機関に対して、自宅療養者への健康観察・診療への最大限の協力を要請。予定手術・待機手術の延期を求めるほか、公立・公的病院に対して追加的な病床の確保、臨時の医療施設への医療人材の派遣を要求・要請し、民間医療機関に対しても要請を行う。
 また、感染リスクが高くない地域の医療機関に対して、コロナ以外の通常医療の制限措置を行い、それによって確保した医療人材を大都市など感染リスクが高い地域に派遣するよう、要求・要請する。

12月から3回目のワクチン接種
 ワクチンの3回目の追加接種は12月から開始できるよう、体制を整備する。対象は2回目の接種完了から8カ月以上経過した人で接種を希望するすべての人。医療従事者を優先させ、来年1月からは高齢者の接種を開始。3月をめどに職域接種も開始する考えだ。

 

全日病ニュース2021年12月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。