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オンライン診療の指針改定の方向性を了承

【オンライン診療検討会】初診からのオンライン診療はかかりつけの医師が原則

　厚生労働省は11月10日、オンライン診療の適切な実施に関する見直しに関する検討会（山本隆一座長）に、初診からのオンライン診療を可能とする指針改定の方向性を示した。初診からのオンライン診療は、かかりつけの医師が行うことを原則と位置づけている。内容は概ね了承された。
　初診からのオンライン診療の取扱いに関して厚労省は、①初診で必要な医学的情報②診療前相談③症状④処方⑤対面診療の実施体制―の５つの論点をあげ、指針改定の方向性を示した。
　初診で必要な医学的情報では、「オンライン診療を実施する前に患者が保有する医学的情報を医師に提供し、当該医師が可能と判断した場合、実施できる」とした。その際、得た情報は診療録に記録する。
　一方、事前に患者の医学的情報を得られない場合や、既存の医学的情報だけでは実施の可否を医師が判断できない場合は、「診療前相談を実施し、相互に合意した場合に実施できる」との取扱いとする。

診療前相談の費用を患者に周知
　診療前相談については、①医師・患者間でリアルタイムのやりとりを行い、相互に合意した場合にオンライン診療を行う②この段階では処方や診断は行わない③診療前相談で得た情報も診療録に記録する④対面診療が必要と判断した場合であって、それが他院の場合は診療前相談で得た情報は必要に応じ適切に提供する⑤診療前相談の結果、オンライン診療を行えないことや、診断前相談の費用などはあらかじめ患者に周知する―と整理した。
　症状については、日本医学会連合の提言などを踏まえて医師が判断する。
　処方については、日本医学会連合などの診療ガイドラインを参考にした上で、麻薬・向精神薬は処方できないなど時限的・特例的措置と同様の扱いにするとした。
　対面診療の実施体制については、「初診からのオンライン診療は原則かかりつけの医師が行うもので、対面診療が必要になった場合は当該かかりつけの医師が行うことが原則」とし、かかりつけの医師が初診からのオンライン診療を実施することは、「例外」と位置付けた。
　オンライン診療後の対面診療について、かかりつけの医師がいない場合は、「オンライン診療を行った医師が対面診療を行うことが望ましい」としたが、「患者の近隣の対面診療が可能な医療機関に紹介されることも想定される」とし、その場合の対応が必要とした。
　オンライン診療と対面診療の関係では議論があり、意見が分かれた。
　日本医師会副会長の今村聡委員は「オンライン診療はあくまでも対面診療を補完するもので、上手にそれを活用することが重要」と述べた。
　健康保険組合連合会副会長の佐野雅宏委員は「オンライン診療は対面診療の補完ではなく、新たな診療形態の一つに位置付けるべき。ただ、患者の安全安心を確保するためには、対面診療との適切な組み合わせが必要」と反論した。
　診療前相談で得た情報も診療録に記載する方向について、東京大学教授の南学正臣委員は、「診療として扱わないものを義務化することには違和感がある」と発言。これに対し、フューチャー株式会社代表取締役会長の金丸恭文委員は「相談と診療は限りなく近く、適切な対価は払われるべき。そうしないと無理やり診療にするケースもでてくる」と指摘した。