全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2021年)第999回/2021年12月1日号医療機関間連携などコロナ対応の病院から事例発表

医療機関間連携などコロナ対応の病院から事例発表

医療機関間連携などコロナ対応の病院から事例発表

【厚労省・医療計画検討委員会】厚労省・医療計画検討委員会東大、十三市民、県立八重山、武蔵野赤十字病院などが発表

 厚生労働省の第8次医療計画等に関する検討会(遠藤久夫座長)は11月11日、前2回の検討会に引続き、新型コロナウイルス感染症対応の事例発表を受けた。同日は、◇東大病院(東京都)◇大阪市立十三市民病院(大阪府)◇沖縄県立八重山病院(沖縄県)◇武蔵野赤十字病院(東京都)◇国立病院機構◇神奈川県医師会が発表した。

後方支援医療機関とコンソーシアム
 東大病院は、2020年3月~ 2021年9月で新規陽性患者454名を受け入れた。うち重症者は235人で半数を超えている。新型コロナの治療薬などの臨床試験も実施している。
 コロナ対応では、3大学病院・後方支援医療機関連携コンソーシアムの運用などを踏まえ、「医療機関の役割分担・機能分化・相互連携を学んだ」と強調した。同コンソーシアムでは、東大病院に調整本部を置き、日本医科大学付属病院、東京医科歯科大学病院の3大学が31の後方支援医療機関と病院間マッチングを実施し、患者を適切な医療機関に搬送した。9月末現在35医療機関が加盟し、73件の転院調整が実現したという。
 これに関し、全日病副会長の織田正道委員は、同コンソーシアムが平時の地域連携を基盤にした組織であるのかを質問した。東大病院は、「平時の地域連携とは別に、コロナ対応のためにスタートした。送る場合も受ける場合もコロナ対応は複雑なので、1例1例の患者調整に手間がかかった。個人的な関係により成り立っていたところが大きい」と説明した。
 織田委員は、「認知症や透析、小児であるなどの患者情報をどのようにやり取りしたのか」とも質問。東大病院は、「後方支援医療機関の手上げを頂いたときに、受けられる患者を聴取した。ただ、透析患者などの実際の調整は大変だった」と述べた。「調整は電話、それともシステムがあったのか」との質問には、「主に電話」と答えた。

一般医療に戻していくことが課題
 大阪市立十三市民病院は、一般病床が224床、結核病床が39床だったが、大阪府の要請により、2020年4月14日から段階的な対応を経て、すべての病床をコロナ対応とするコロナ専門病院に転換した。2020年3月25日~ 2021年10月27日で、1,633人のコロナ患者を受入れ、死亡は64人。現在、コロナ患者が急減し、病床が空いている。一般医療を一部再開しているが、コロナ収束後にどのように一般医療に戻していくかが課題であるとした。
 沖縄県立八重山病院は、広範囲に離島が散らばる八重山諸島全体の新型コロナ対応を担った。離島であり、コロナ対応に特化することはできず、救急も維持する必要がある。コロナ対応の医師・看護師を確保するため、検査・手術を延期し、外来は電話診療に切り替え、1病棟を閉鎖した。
 外部から医師・看護師の応援もあったが、平時から慢性的に医師・看護師が不足しており、人員確保を課題とした。離島であるがゆえの搬送の難しさも課題にあげた。
 武蔵野赤十字病院は、感染症病床を有する指定医療機関であり、多くの重症患者を受け入れた。2020年1月~2021年10月の間の最大確保病床数は76床(2021年9月)であり、うち重症者病床は12床であった。
 その上で、「重症病棟では最大、人工呼吸器10台、ECMO2 台を使用。そのケアは、救急集中治療室(患者と看護職員の比率は2対1)レベル」と説明。一般病棟の縮小や救急病棟の閉鎖を行って、コロナ対応病棟に看護師を増員せざるを得ないと強調した。
 また、同病院も指定されている地域医療支援病院について、「それぞれの地域の実情に応じて、感染症医療や災害医療の積極的協力を求めることは、地域医療支援病院の制度趣旨に適正した対応である」との考えを示した。

地域医療構想調整会議を活用
 国立病院機構は、140の国立病院を抱える独立行政法人で、2021年8月に感染症法に基づく東京都・厚生労働大臣からの協力の要請、2021年10月に国立病院機構法に基づく厚生労働大臣からの要求により、コロナ病床の確保や医療従事者の派遣を実施した。
 8月の要請では、東京都下3病院のコロナ病床を133床から209床に増床した。国立病院機構以外の病院への派遣実績は、派遣先病院数が77病院、派遣看護師延べ人数が3,637人(人日)、実人数は234人となっている。
 神奈川県医師会は、医療提供体制への過剰な負担を避けることを狙った、いわゆる神奈川モデルについて、「本来は入院が必要な自宅療養(入院待機)者のモニタリングが原則」と説明。◇保健所が自宅療養者をリストアップ◇訪問看護事業者が電話で健康観察◇医師が訪問看護事業者から状態の報告を受け指示─により、自宅療養中の病状悪化などに対応しているとした。
 神奈川モデルの進化の秘訣として、◇県がトップに災害医療専門の現役医師を据えた◇医師が臨床症状から入院が必要と判断した患者に治療対象を絞り、病床を有効活用した◇県の動きに医師会、病院協会が協調した◇地域医療構想調整会議のプラットフォームを活用した─ことをあげた。

 

全日病ニュース2021年12月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 2021.12.1 No.999

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2021/211201.pdf

    2021/12/01 ... する検討会(遠藤久夫座長)は11月11. 日、前2回の検討会に引続き、新型コ. ロナウイルス感染症対応の事例発表を. 受けた。同日は、◇東大病院(東京 ...

  • [2]

  • [3]

  • [4]

  • [5]

  • [6]

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。