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ホーム全日病ニュース(2022年)第1004回/2022年3月1日号救命救急センター充実段階評価の取扱い案を了承

救命救急センター充実段階評価の取扱い案を了承

救命救急センター充実段階評価の取扱い案を了承

【厚労省・災害医療WG】新興感染症にもDMATが対応

 厚生労働省の「救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ」(遠藤久夫座長)は2月9日、2021年の救命救急センター充実段階評価の取扱い案を了承した。新型コロナの影響を受けた8項目を除外して評価した上で、2019年より評価が下がったセンターに対しては個別にヒアリングを行って評価することとなった。
 救命救急センターの充実段階評価はS・A・B・Cの4段階評価で、医療提供体制推進事業費補助金と診療報酬に反映される。評価の結果に基づき、補助金では交付算定基準額に乗じる係数が100~ 80%、診療報酬では救命救急入院料の加算が1,500~ 500点となっている。
 2020年の充実段階評価は、新型コロナの影響を踏まえて一部の項目を評価の対象外とする例外的な対応を行っている。救急医学会のアンケートの結果、新型コロナの影響があると示唆された「年間に受け入れた重篤患者数(来院時)」など16項目すべてを除外して評価した。
 その後、厚生労働行政推進調査事業の「救命救急センターの現況に関する研究」で、2020年と2021年の充実度評価の項目を比較すると、有意な実績の低下を認めたのは除外対象とした16項目のうち7項目だった。
 7項目は、◇年間に受け入れた重篤患者数(来院時)◇救命救急センターを設置する病院の年間受入救急車搬送人員◇地域の関係機関との連携◇救急救命士の挿管実習および薬剤投与実習の受入状況◇救急救命士の病院実習受入状況◇医療従事者への教育◇災害に関する教育―となっている。
 2021年の救急医学会へのアンケート結果では、「研究」で実績の有意な低下を認めた7項目で、前年と同様に実績が低下していることを確認。加えて、「脳死判定および臓器・組織提供のための整備等」は前年よりも大きな影響を受けたとし、合計8項目を除外して評価することを決めた。
 2021年の充実段階評価は、S評価73施設(2020年104施設)、A評価199施設(同189施設)、B評価21施設(同2施設)、C評価2施設(同0施設)と試算されている。

DMAT活動要領の改正を報告
 ワーキンググループでは厚労省から日本DMAT活動要領の改正が報告された。同8日付けで改正された活動要領では、新型コロナの経験も踏まえ、「新興感染症に係るDMATの活動の位置づけ」が盛り込まれた。
 改正ではほかに、◇保健医療調整本部とDMAT都道府県調整本部の関係の明確化◇搬送調整業務における災害医療コーディネーターとDMATの役割の明確化◇災害発生時のDMAT自動待機および解除基準の見直し◇都道府県DMAT調整本部立ち上げの目安の明確化―の内容を示している。
 厚労省の報告に先立ち、DMAT事務局の小井戸雄一参考人が新型コロナに対するDMATの活動を発表した。新型コロナ対応を踏まえた取組みとしては、DMAT活動要領を改正して、新興感染症等のまん延時の対応を追記するとともに、感染症対応の研修や訓練の実施、必要な装備の確保などのDMAT体制事業の拡充を求めた。
 全日病常任理事の猪口正孝委員は、今回の活動要領の改正について、「新興感染症に対応するためにDMATが活動することに問題はないが、感染症の専門家との関係性が明確になっていない。その辺りの整理はどうなっているのか」と質問した。
 小井戸参考人は、「DMATが感染症の専門家といかに連携するかが一番大きなテーマとなる。今後、DMAT事務局のなかにも感染症の専門家が常勤・非常勤で入ることが望ましい。ただ、感染症の専門家を支援するために本部機能を充実させることが目的であって、DMATが前線に出て、感染症の治療を直接行うわけではない。これまでDMATがやってきた新型コロナに対する取組みを、今後は本来業務の中に入れていくことになる」と答えた。

 

全日病ニュース2022年3月1日号 HTML版

 

 

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  • [1] NEWS 6/1

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2011/110601.pdf

    2017/04/01 ... 東京の区中央部では5,953人の医師が. 病院で働いているが、東京都の ... は、DMAT事務局長小井土氏(国立病 ... 医療を進める地方中小病院にも参考と.

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