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ホーム全日病ニュース(2022年)第1004回/2022年3月1日号循環器病総合支援センターモデル事業の公募案を了承

循環器病総合支援センターモデル事業の公募案を了承

循環器病総合支援センターモデル事業の公募案を了承

【厚労省・循環器病支援委員会】センターを全国10都道府県に設定して先行実施

 厚生労働省は2月17日、循環器病総合支援委員会の初会合を開いた。厚労省が2022年度に行う、全国10都道府県程度に循環器病総合支援センターを設けるモデル事業の公募要綱案を大筋で了承した。
 同委員会は、2019年12月1日に施行された「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」に基づき閣議決定された循環器病対策推進基本計画(2020年10月27日)を踏まえ、同計画に定める目標などを達成するために、循環器病対策推進協議会の下に設置された。
 相談・生活支援などの総合的な取組みを進めるため、同委員会の検討事項に、◇循環器病総合支援センターに必要な要件の検討◇モデル事業で実施された循環器病総合支援センターが、効率的に支援を行うことができたかを検証◇より実効性のある総合支援のための提案─を置いた。
 構成員は6名で、委員長は、宮本享・京都大学医学部附属病院院長が選出された。他の構成員は、川勝弘之・循環器病(脳卒中)経験者、木澤晃代・日本看護協会常任理事、坂田泰史・大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学教授、中澤よう子・神奈川県医務監、早坂由美子・日本医療社会福祉協会理事となっている。

センターが包括的な支援体制を構築
 同日は、厚生労働科学研究・特別研究・野出班報告による循環器病総合支援センターの設置要件案の報告を受け、それに即した循環器病総合支援センターモデル事業の公募要綱案を大筋で了承した。
 循環器病総合支援センターは、循環器病患者を中心とした包括的な支援体制を構築するために、専門的な知見を有し、地域の情報提供などの中心的な役割を担う医療機関との位置づけだ。
 地域の病院やかかりつけ医と連携し、患者や地域住民に情報提供・相談支援を行う。「地域医療機関の診療および患者支援機能の向上が可能となる」、「国民がワンストップで必要な情報を得られるとともに、より効率的かつ質の高い支援が可能となる」ことが期待される。
 センター事業の公募要綱では、応募資格として、◇脳卒中・心臓病の急性期を含む入院医療を提供している◇循環器病患者支援、リハビリテーション等の取組み、適切な情報提供・相談支援、緩和ケア、後遺症を有する者への支援、治療と仕事の両立支援・就労支援、小児期・若年期から医療が必要な循環器病への対応ができる◇都道府県内および近隣の循環器病の診療を行っている医療機関と連携できる─などをすべて満たすことをあげた。
 事業内容としては、◇患者・家族の相談窓口の設置◇住民への情報提供、普及啓発◇地域の医療機関、かかりつけ医を対象とした研修会、勉強会などの開催◇データベース事業が開始した際には、データ入力・入力支援─などがある。
 ただ、同日の議論で、データ入力・入力支援については、実施主体の位置づけなどを再度整理することになった。また、「予防」の概念をセンターモデル事業に取り入れることも合意した。そのほか、多岐にわたる相談が寄せられることが想定されるため、そのための体制づくりや人材育成の重要性も指摘された。
 また、努力義務として、「急性期から回復期および維持期まで一貫性を持ったリハビリテーション治療の提供等の取組の推進」や「超高齢社会の対応と地域包括ケアシステムとの協働」、アドバンス・ケア・プランニングに関する情報提供などを努力義務とした。

 

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