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ホーム全日病ニュース(2022年)第1004回/2022年3月1日号オミクロン株の特性を踏まえた医療体制の強化策

オミクロン株の特性を踏まえた医療体制の強化策

オミクロン株の特性を踏まえた医療体制の強化策

【岸田総理】医療関係者との意見交換会で発表

 岸田文雄総理大臣は2月17日の日本医師会など医療関係者との意見交換会で、新型コロナのオミクロン株の特性を踏まえた医療体制の強化策などを発表した。ワクチン接種を加速化させるとともに、外来と自宅療養の対応強化や医療人材派遣の支援、転院や救急搬送受入れ促進策がある。
 ワクチン接種については、早期に1日100万回を達成するという目標に向け、「すべての手段をフル稼働させ、医療機関、自治体、国が協力して加速化させる」と述べた。全国の医師会・看護協会に、特に働きかけを要請した。
 外来と自宅療養の対応強化では、発熱外来のさらなる拡充と、一部の地域で実施機関名が非公表となっていることから、公表を求めた。あわせて、まん延防止等重点区域において、電話等による初・再診を行った場合の診療報酬の特例加算を1人250点から500点に倍増させる。岸田総理は、「多くの方が自宅で療養されているなか、こうした取組みも活用して、対応を強化してほしい」と述べた。
 具体的には、昨年8月16日から実施している、自宅・宿泊中の新型コロナ患者に対する電話等を用いた初診・再診を行った場合の診療報酬の評価として、二類感染症患者入院診療加算(1日250点)を算定できる特例対応について、同加算の2倍相当(500点)を算定できるようにする。対象は、「保健所から健康観察に係る委託を受けている医療機関」と「診療・検査医療機関」(公表している医療機関に限る)に限定される。同日から実施された。
 医療人材の派遣は、東京と大阪で、臨時の医療施設を合計1,000床増設することを踏まえたものだ(8面参照)。そこへの看護師などの派遣を支援するため、看護師を派遣する場合の派遣単価を1.5倍に拡充し、1時間8,280円とする。

新たな病床確保で450万円補助
 転院や救急搬送受入れの促進については、新規感染者数のピークは過ぎた状況であっても、病床使用率の上昇はしばら続くことから、新型コロナ対応の拠点病院が、より症状の重い患者への対応に注力できるよう、それ以外の医療機関が、早期に退院する患者を積極的に受け入れることを期待する対応と位置づけている。
 具体的には、都道府県が2月1日以降に、新型コロナ患者の病床を追加で確保し、即応病床とした医療機関に対し、まん延防止等重点措置が解除されるまでの特例として、1床当たり450万円を上限に補助する。対象経費は、2022年2月1日から3月31日までの人件費・感染拡大防止などに必要となる費用(人件費は補助額の3分の2以上)としている。
 また、救急搬送困難事案が増加していることを踏まえ、一時的に患者を受け入れる病床の確保のための病床の新規確保に対しても、1床当たり450万円の支援金を設ける。岸田総理は、「地域における医療機関間の連携がさらに進むよう、お願いする」と述べた。
 具体的には、東京都または政令指定都市のうち、まん延防止等重点措置区域の指定を受けた地域において、新型コロナ病床を5床以上確保し、救急搬送件数が年間1,000台以上である医療機関が対象。1医療機関当たり上限2床であり、確保病床とは別の病床とする必要がある。また、病床利用率が70%以上であり、病床確保料の対象外の病床でなければならない(左表参照)。
 高齢者施設における医療体制の強化では、高齢者施設で感染した利用者のうち、軽症で入院を必要としない利用者が、施設内で安心して療養できるよう、高齢者施設のかかり増し経費への補助を、施設内療養者1人当たり最大15万円から30万円に増額するとしている(1日1万円を2万円に増額)。
 対象は、まん延防止等重点措置区域の施設等であって療養者数が、小規模施設(定員29人以下)では2名以上、大規模施設(定員30名以下)では5名以上を超える場合。限度額は小規模施設で1施設当たり200万円、大規模施設では500万円となった。

 

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