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ホーム全日病ニュース(2022年)第1004回/2022年3月1日号日本医師会・四病院団体協議会が改定答申を受け会見

日本医師会・四病院団体協議会が改定答申を受け会見


左から、中川日医会長、相澤日病会長、猪口全日病会長、伊藤医法協会長代行、長瀬日精協副会長。

日本医師会・四病院団体協議会が改定答申を受け会見

【2022年度診療報酬改定】猪口会長が今回改定の入院医療における注目点に言及

 中医協総会(小塩隆士会長)は2月9日、2022年度診療報酬改定を後藤茂之厚生労働大臣に答申した(次頁参照)。これを受け、日本医師会・四病院団体協議会は同日、会見を開き、2022年度改定に対する見解を示した。
 全日病の猪口雄二会長は、まだ答申段階であり、3月上旬を予定する告示・通知等が出ていないため、確定的な解釈を行うのは困難と指摘しつつ、◇高度急性期に対する手厚い評価◇一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」(以下、必要度)の評価項目の適正化と該当患者割合における200床未満の病院への配慮◇地域包括ケア病棟入院料等での求められる役割に応じた評価─に注目し、説明を加えた。今後、詳細を検証し、病院への影響を見極めたいとの考えを示した。

高度急性期への手厚い評価を行う
 猪口会長が注目した3点について、中医協の個別改定項目の整理に従って、その内容をみていく。
 急性期入院医療の評価については、中医協の議論の中で、特定集中治療室など治療室を持ち、手術や救急搬送などの体制・実績により判断される「高度かつ専門的な診療を実施する病院」を、その他の急性期病院と分けて評価する方向性が、厚生労働省の資料から示されていた。
 その方向性は、今回改定で一部実現されており、特に、高度かつ専門的な急性期医療を担う病院に対する評価がいくつも新設された。
 まず、急性期一般入院料1への加算である「急性期充実体制加算」がある。点数は1日につき、7日以内が460点、8日以上11日以内は250点、12日以上14日以内が180点となっている。施設基準の詳細は明らかになっていないが、「地域において高度かつ専門的な医療及び急性期医療を提供するにつき十分な体制が整備されていること」、そのような「実績を十分有していること」、名称等変更後の「感染対策向上加算1」の届出などを求めている。
 特定集中治療室等に対しては、「重症患者対応体制強化加算」(3日以内は750点、4日以上7日以内は500点、8日以上14日以内は300点)、「重症患者初期支援充実加算」(1日300点)、「重症患者搬送加算」(重症患者の搬送で1,800点)などが新設されている。


会見で発言する猪口全日病会長。

「必要度」は適正化とあわせ配慮も
 一般病棟用の「必要度」については、前回改定に引続き今回改定の議論でも、中医協の診療側と支払側の意見の隔たりが大きく、合意形成が困難となったため、公益委員による裁定が行われることになった。
 その結果、A項目(モニタリング及び処置等)の評価項目が、厳しく見直された。具体的には、◇「心電図モニターの管理」の項目の廃止◇「点滴ライン同時3本以上の管理」を「注射薬剤3種類以上の管理」に変更◇「輸血や血液製剤の管理」を1点から2点に変更─を行う。
 日本医師会の中川俊男会長は会見で、「心電図モニターの管理」の項目の廃止について、新型コロナに対応している急性期病院への影響を懸念し、「残念」と述べた。
 日本医療法人協会の伊藤伸一会長代行は、「『心電図モニターの管理』の廃止により、内科系の技術が低く評価されてしまうことを懸念する。超高齢社会で内科系の治療を必要とする患者が増えている。内科系の疾患への対応が多い病院への影響がどうなるかを詳しく検証する必要がある」と訴えた。
 日本病院会の相澤孝夫会長は、「『必要度』が急性期の患者像を把握するためというよりも、7対1の看護配置の病棟を減らすために使われている。急性期にふさわしい患者像を把握するという本来の目的のための指標を別に考えるべきだ」と提案した。
 猪口会長は、「『必要度』は毎回の改定で内容が変わって、(厚生労働省と現場の)イタチごっこ状態になっている。規則をどんどん増やして、厳しく縛るやり方を進めているが、それは地域医療にとって、あまりよいことではない。医療課も2年に1回の改定作業であるので、抜本的な改革はできない。個人的には、本質的なあり方を考えるチャンスをどうにかして作れないものかなと思っている」と、抜本的な対応が必要との考えを示した。
 一方で、猪口会長は、今回の「必要度」の見直しで、評価項目は厳格化されたが、該当患者割合については、特に、200床未満の病院に対し、配慮が行われたと指摘した。

地ケア病棟入院料は広範な見直し
 地域包括ケア病棟入院料等については、広範な見直しが実施される。
 猪口会長は、「急性期からの受入れと在宅等からの受入れ、在宅支援という地ケア病棟等の3つの機能の役割に応じて、評価を収斂させている方向にあるが、今回、特に、一部の医療機関には厳しくなる見直しが行われたという印象だ。方向としては、急性期病棟と地ケア病棟がある病院は、地ケア病棟を急性期病棟のポストアキュートの機能だけで使うのではなく、地域包括ケアの中で、ちゃんと患者を在宅に戻す役割を果たしてくださいという考え方が根底にある」と説明した。
 今回の地ケア病棟入院料等の見直しでは、例えば、地域包括ケア病棟入院料2・4における自院の一般病棟から転棟した患者割合の要件を、「400床以上」から「200床以上400床未満」の病院にも拡大するとともに、減算率が10%から15%に厳格化される。
 一方、地域包括ケア病棟等を算定する病棟等が療養病床である場合は、5%の減算率を設ける。ただし、救急医療を実施する体制を整備している場合などは減算されない。そのほか、自宅等からの患者の受入れなど実績要件の厳格化など広範な見直しが実施されている。

 

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    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20220215/news02.html

    2022/02/15 ... 全日病ニュース. (3). 中医協総会(小塩隆士会長)は11月. 10日、2022年度診療報酬改定に向けて、.

  • [2] 2022.2.15 No.1003

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2022/220215.pdf

    2022/02/15 ... 日病協が公益裁定めぐり議論 4面. 中医協総会(小塩隆士会長)は2月. 2日、2022年度診療報酬改定に向けた. 議論を終えた。まだ、点数などは未記.

  • [3] 2020.9.1 No.970

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2020/200901.pdf

    2020/09/01 ... 小塩隆士会長)に、2020年度診療報. 酬改定で設けた9月30日までの経過措. 置の一部を、半年間延長することを提. 案した。入院基本料の「重症度、医療 ...

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