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ホーム全日病ニュース(2022年)第1014回/2022年8月1日号急激なコロナの感染拡大に危機感を表明

急激なコロナの感染拡大に危機感を表明

急激なコロナの感染拡大に危機感を表明

【日病協・代表者会議】救急外来で通常医療に支障が出始めている

 日本病院団体協議会は7月22日の代表者会議終了後に会見を開いた。小山信彌議長(日本私立医科大学協会参与)は、新型コロナの直近の感染状況が、これまでと異なる水準で拡大していることから、医療提供体制の確保について危機感を表明した。
 急激な感染拡大で、地域によっては病院の救急外来に患者が殺到している。山本修一副議長(地域医療機能推進機構理事長)は「熱中症をはじめ処置が必要な患者に対して支障が出始めており、大きな懸念を抱いている」と述べた。小山議長は、「感染者の多くが若年者で、症状もないということであるなら、病院には来ないという判断もあると思うが、国がそういうメッセージを出していない状況で、我々として統一見解は出せない」と述べた。
 病院職員にも感染拡大が広がっており、病院職員の濃厚接触者が増えて、病院機能が低下する事態も生じている。千葉大学医学部附属病院では、濃厚接触者に抗原検査を実施し、陰性であれば勤務してもらう体制を整えたとの報告があった。ただ、家族が感染し職場に出ることが難しい場合や、濃厚接触者が勤務することに心理的な抵抗があり、勤務に結び付く濃厚接触者は一定数にとどまっているという。
 また、現状でコロナ病床の利用率は逼迫していないものの、今後、感染拡大の継続に応じて、コロナ病床の利用率が上昇してくることに対しても、山本副議長は危機感を示した。
 なお、厚生労働省は同日、「直近の感染状況を踏まえた追加的な取組」を発表した。対策は◇病床の確保等◇発熱外来自己検査の体制整備◇医療機関・保健所の負担軽減◇濃厚接触者の待期期間の短縮等◇財政支援の延長◇ワクチン◇治療薬の7項目となっている。
 病床確保等では、7月6日の3.0万床から20日には3.5万床に増加させ、引続き、「最大確保病床数約5万床のフル稼働に向けた取組を要請する」とした。抗原定性検査キットを配布し、発熱外来を受診することに代えて、健康観察を受ける体制の整備も図る。

診療報酬による看護の処遇改善
 診療報酬による看護の処遇改善の制度設計も同日の日病協で議論された。厚労省のシミュレーションにより、入院料に100種類の点数設定を行えば、処遇改善の必要額と入院料の算定回数による収入額の過不足が一定範囲に収まることがわかり、その方法を基本とすることに異論はなかったことが報告された。
 ただ、不足が生じる病院への対応では議論があった。7月20日の入院・外来医療等の調査・評価分科会では、入院料に145点まで点数を設定すると、三次救急、子ども、周産期の医療を担う病院の過不足も概ねカバーできるが、それでもごく少数の「外れ値」となる病院が出てきてしまうことが示された。
 一方、過不足は、ある一時点の患者数により左右されるため、新型コロナの感染状況が影響している可能性が高いこともデータで示されている。「外れ値」の取扱いについては、中医協総会で慎重に議論して判断してもらいたいとの考えが示された。
 また、外来の初再診料は含めず、入院料への加算のみとする場合は、なぜ入院の患者負担だけが増えるのかについて、10月までに厚労省がきちんと説明、周知することも求められた。

 

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