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ホーム全日病ニュース(2023年)第1025回/2023年2月1日号2024年度診療報酬改定に向けたスケジュールを決定

2024年度診療報酬改定に向けたスケジュールを決定

2024年度診療報酬改定に向けたスケジュールを決定

【中医協総会】ポスト2025年を見据えた6年に1度のトリプル改定

 中医協総会(小塩隆士会長)は1月18日、2024年度診療報酬改定に向けた検討の進め方を了承した。6年に1度の医療・介護・障がい福祉等のトリプル報酬改定であるとともに、ポスト2025年を見据えた医療・介護提供体制の姿を想定し、報酬改定に取り組むことが求められている。また、第8次医療計画や医師の働き方改革、医療DXへの対応も大きな課題となっている。
 厚生労働省は、2024年度改定の背景として、以下を指摘した。
①介護報酬・障がい福祉サービス等報酬との同時改定
②2025年に向けて地域医療構想を推進するとともに、医療介護総合確保促進会議による「ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿」が取りまとめられる
③新興感染症対応を含め第8次医療計画が2024年度から始まる
④2024年度から医師の働き方改革が実施される
⑤医療DXの取組みが進んでいる
⑥革新的な医薬品や医療ニーズの高い医薬品の日本への早期上市や医薬品の安定的な供給を図る観点から、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」で、薬価制度などの議論が行われている
⑦プログラム医療機器(SaMD)の検討が求められている
 これらを踏まえ、それぞれの検討を行う場を決定した。

介護給付費分科会と意見交換
 同時改定ということでは、前回の同時改定(2018年度改定)の時と同様に、中医協と介護給付費分科会において、各報酬がより有機的に連携した設計になるように、それぞれが具体的な改定項目の議論に入る前に、同時改定に関する議論を行うため、関係する委員などが参加する意見交換会を設定する。
 なお、意見交換会では、具体的な報酬に関する方針には踏み込まず、新型コロナの感染拡大を踏まえた今後の健康危機管理やポスト2025および2040年を見据えた際の課題や方向性の共有を目的にする。改定内容の重要な決定はあくまで中医協で行うとの考えだ。
 開催時期は3月以降、3回程度とする。課題としては、認知症やリハビリテーション・口腔・栄養、人生の最終段階における医療・介護、訪問看護、薬剤管理などをあげた。会議は原則公開で、保険局と老健局が事務局を務める。
 また、プログラム医療機器(SaMD)については、AIを備え医学管理を行うスマホのアプリなど従来の評価の枠組みが想定していない技術が登場してきているため、保険医療材料等専門組織にワーキンググループを設置し、評価体系を検証する。
 中医協での2024年度改定に向けた議論は4月以降に始まる。まずは、第8次医療計画、医師の働き方改革、医療DXをテーマに議論する。その後、入院、外来、在宅、歯科、調剤、感染症、個別事項(その1)などについて、夏頃までに、幅広く意見交換を行う。秋頃より、個別具体的な改定項目(その2)について、診療報酬でどう評価するかの本格的な議論が行われる。
 それと並行して、入院・外来医療等の調査・評価分科会や改定結果検証部会などで、2022年度改定の検証を含めた議論が各分野で行われることになる。
 委員からスケジュールに関し、特に異論はなく了承された。

支払側はメリハリある評価求める
 意見では、支払側の健康保険組合連合会理事の松本真人委員が、「ポスト2025年の議論も重要だが、2025年に向け地域医療構想をきちんと進める必要があるということを特に指摘したい」と述べ、着実な地域医療構想の推進を求めた。また、「新興感染症対応、医師の働き方改革、医療DX、医薬品の評価、プログラム医療機器(SaMD)などの課題に対し、評価の充実を前提とするのではなく、メリハリをつけて評価することが大事だ」と釘を刺した。
 また、支払側の委員から、医療DXをめぐり昨年12月23日に答申が行われた「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の評価見直しに関連し、答申書附帯意見に、「早期に患者・国民の声を丁寧かつ幅広く聴く」と明記されたことから、患者からのヒアリングの実施を主張する意見が相次いだ。これに対し、日本医師会常任理事の長島公之委員は、特定の意見に偏る意見聴取にならないよう、ヒアリングの実施方法については、慎重に検討すべきであると主張した。

保険医療機関の指導・監査等
 そのほか、2021年度の保険医療機関等の指導・監査等の実施状況が報告された。個別指導は1,050件で対前年度比747件減、新規個別指導が4,453件で同1,538件増。2021年度は、新型コロナの感染拡大のため見合わせていた新規個別指導を再開したため増加したが、個別指導は一部で実施できず減少した。保険医療機関の指定取消等は26件、保険医の登録取消等は16人となっている。

 

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