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ホーム全日病ニュース(2023年)第1025回/2023年2月1日号2025年までの地域医療構想の取組みの着実な推進を明記

2025年までの地域医療構想の取組みの着実な推進を明記

2025年までの地域医療構想の取組みの着実な推進を明記

【厚労省・第8次医療計画検討会】民間病院の対応方針の策定率向上を求める

 厚生労働省の第8次医療計画等に関する検討会(遠藤久夫座長)は昨年12月23日、「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」(尾形裕也座長)がまとめた第8次医療計画の地域医療構想に関する意見の報告を受けた。地域医療構想は2025年までの取組みとなっており、当面、現行の枠組みでの取組みを着実に進めるが、第8次医療計画期間中に2025年を迎えるため、2025年以降の取組みについては、今後、2040年を見据えた中長期的課題として、改めて整理し、検討する。
 当面の地域医療構想の取組みの進め方では、民間病院の取組みの加速化を求める意見が出る一方、客観的なデータに基づく議論が、地域の地域医療構想調整会議で行われるよう、厚労省に偏りのない資料作成を求める意見が、医療提供者側の委員から相次いだ。
 同日の検討会に厚労省が示した資料の中で、「地域医療構想調整会議における対応方針の検討状況」(下記の図表を参照)をめぐり議論があった。地域医療構想では、将来的な病床機能ごとの医療需要の変化を踏まえ、それに対応できる地域の医療提供体制を整えるため、医療機関の再編・統合を含めた対応方針を定めることになっている。
 医療機関の区分別に、対応方針の協議状況をみると、再検証対象医療機関を除く「新公立病院改革プラン・公立病院経営強化プラン対象病院」の対応方針の措置済みを含む「合意済」の割合は、医療機関単位で99%、病床単位で99%となっている。
 一方、「その他」は、医療機関数では29%、病床数単位で39%にまで下がる。「その他」の医療機関は概ね民間病院と想定されるため、健康保険組合連合会専務理事の河本滋史委員などが、民間病院の取組みの加速化を求めた。
 しかし、これに対しては、「大阪では多くの民間病院が協議に参加し、合意している。都道府県別にみないと実態を見誤る」(加納繁照委員・日本医療法人協会会長)、「有床診療所が『その他』に入っているが、地域医療構想は病院を中心に進めているので誤解を招く」(今村知明委員・奈良県立医科大学教授)などの意見が相次いだ。
 厚労省担当官は、「地域医療構想は公立・公的医療機関の協議を先行させているので、対応に違いが出るものと理解している。データの出し方についても、都道府県別のデータも示すなど、改めて検討する」と回答した。
 全日病副会長の織田正道委員は、「データの出し方については、実数もきちんと示してほしい。主に民間病院の『その他』の母数は1万494で、その3割は3,150ぐらい。公立・公的病院は合わせて1,200程度なので、対応している民間病院の方がずっと多い」と指摘した。

何を指標に構想を推進するか
 第8次医療計画策定に向けた地域医療構想の意見のとりまとめでは、地域医療構想の基本的な枠組みを維持しつつ、着実に取組みを進めるとの方針を確認した。その際に、都道府県は、「毎年度、対応方針の策定率を目標としたPDCA サイクルを通じて、地域医療構想を推進する」と明記した。
 また、病床機能報告上の病床数と将来の病床の必要量について、データの特性だけでは説明できないほどの差が生じている構想区域について、その要因の分析・評価を公表するとともに、「必要な方策を講じる」としている。
 織田委員は、「当初の地域医療構想の議論が、各医療機能の病床数を『(推計に基づく2025年の)病床の必要量』に合わせなければいけないという方針になってしまったために、実際は不足していない回復期病床の増床が行われるなど、地域の医療提供体制に混乱が生じた。病床の必要量自体も、2013年時点の入院受療率や人口推計から算出した2025年の推計であり、古すぎる。地域医療構想を推進するにあたっては、病床の必要量に合わせることを強調するよりも、地域の医療機関間の連携や住民の満足度など定性的な評価を含めて、地域医療構想のPDCAサイクルを回すことが大事だ」と強調した。

 

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