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ホーム全日病ニュース(2023年)第1026回/2023年2月15日号司令塔機能強化のため内閣感染症危機管理統括庁を設置

司令塔機能強化のため内閣感染症危機管理統括庁を設置

司令塔機能強化のため内閣感染症危機管理統括庁を設置

【政府】新型インフルエンザ等対策特別措置法等一部改正案を閣議決定

 政府は2月7日、「新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案」を閣議決定した。内閣官房に、内閣感染症危機管理統括庁を設置するとともに、感染症の感染拡大の初期段階から新型インフルエンザ等対策本部が、迅速に措置を講じることができる仕組みを設ける。
 開催中の通常国会に法律案を提出する予定。内閣感染症危機管理統括庁は公布日から6か月以内に設置することになっている。
 昨年9月2日の新型コロナウイルス感染症対策本部で、岸田文雄総理が、「将来の感染症危機において、まん延初期段階から国・地方を通じて迅速に措置を講じることを可能」とする対応を表明。政府の司令塔機能を強化するため、内閣官房に、新たに内閣感染症危機管理統括庁を設置し、感染症に対応するための総合調整を一元的に所管し、各府省の実務を強力に統括するとの方針を明らかにしていた。
 岸田総理は、将来の感染症危機に備え、あわせて、「厚生労働省における平時からの感染症対応能力を強化するため、健康局に感染症対策部を設置」する考えも示している。さらに、「国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合し、感染症等に関する科学的知見の基盤・拠点となる新たな専門組織、いわゆる日本版CDCを創設する」との方針も示されている。
 内閣法の一部改正により設置する内閣感染症危機管理統括庁は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に規定する政府の行動計画の策定や政府対策本部の事務、行政各部が業務を行う上で必要な企画・立案・総合調整に関する事務を行う。
 内閣感染症危機管理統括庁には、内閣官房長官を助けて庁務を担う職として内閣感染症危機管理監1人を置く。内閣感染症危機管理監は内閣総理大臣が内閣官房副長官の中から指名する。内閣感染症危機管理監の業務を助ける職として、内閣感染症危機管理監補を置く。内閣感染症危機管理監補は内閣総理大臣が内閣官房副長官補の中から指名する。
 両者の業務を助ける職として、内閣感染症危機管理対策官一人を置く。内閣感染症危機管理対策官には厚労省の医務技監を充てる。内閣感染症危機管理統括庁の所掌事務を総括的に整理し、重要な施策に参画する職として、内閣感染症危機管理対策官を位置づけている。

総理の指示権発動を前倒し
 新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部改正では、現行法において、まん延防止等重点措置時と緊急事態宣言時に限定されている新型インフルエンザ等対策本部長(内閣総理大臣)の都道府県知事などに対する指示権の発動時期を、新型インフルエンザ等対策本部設置時に前倒しする。
 また、まん延防止等重点措置時と緊急事態宣言時における事業者に対する要請等の実効性を確保するために、事業者に対し命令を発出する際の「特に必要があると認められるとき」を法令上明確にすることで実効性を高める。
 そのほか、自治体が感染拡大防止措置の財源を確保しやすくするため、国庫補助負担率の嵩上げ規定と地方債の発行に関する特例規定を設ける。この規定に関しては他と異なり、施行時期を2024年4月としている。
 政府対策本部や新型インフルエンザ等対策推進会議の事務は、法案が成立すれば、内閣感染症危機管理統括庁が担う旨の規定も盛り込んだ。

 

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