全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2023年)第1036回/2023年7月15日号医療情報・システム基盤整備体制充実加算でネット調査

医療情報・システム基盤整備体制充実加算でネット調査

医療情報・システム基盤整備体制充実加算でネット調査

【中医協総会】問診票記載の手間軽減などでマイナカードを利用した受診のメリットを実感

 厚生労働省は6月21日の中医協総会(小塩隆士会長)に医療情報・システム基盤整備体制充実加算にかかるインターネット調査の結果を報告した。マイナンバーカードを保険証として利用した人にとって、「問診票に記載する内容が少なくなり手間が減った」ことが、認知されたメリットの中では、「実感」につながっていることが確認できた。
 同加算は、医療機関などがオンライン資格確認システムを導入し、マイナンバーカードで受診した患者の医療情報などを取得・活用している場合に算定できる。2022年度改定で導入した電子的保健医療情報活用加算を廃止し、昨年10月に新設した。旧加算は、初診でマイナンバーカードを利用した患者のほうが、患者負担が上がることへの批判があった。新加算では、マイナ保険証を利用したほうが、患者負担が下がるようになっている。
 また、昨年12月23日の中医協では、今年4月1日から12月31日までの特例措置として、初診時の点数の引上げなどを行った。その際に、この点数について、「早急に患者・国民の声を丁寧かつ幅広く聞き…医療の質の向上の状況等について十分に調査・検証を行うこと…」が附帯意見において求められていた。
 なお、同日の総会で了承した2022年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(2023年度調査)においても、「オンライン資格確認システムに係る診療報酬上の対応の実施状況」を調査することになっている。
 実施時期は2023年5月2日~ 15日で、インターネットを通じ、マイナンバーカードを健康保険証として使って受診した有無別に各1,000人、合計2,000人を対象に調査を実施した。
 結果をみると、マイナンバーカードを健康保険証と一体化している人は全体の6割。そのうち、直近3カ月以内にマイナンバーカードを健康保険証として利用したことがある人は約2割であった。医療情報・システム基盤整備体制充実加算を知っている人の割合は、直近3カ月以内のマイナンバーカード受診歴ありの場合で約6割。受診歴がない場合で約4割となっている。同点数の点数差を知っている人の割合は前者で約7割、後者で約4割であった。
 マイナンバーカードを健康保険証として利用することのメリットとしては、「薬剤情報や特定健診情報の紙媒体を医療機関・薬局に持参する必要がない」、「問診票に記載する内容が少なくなり手間が減る」、「高額療養費の自己負担上限が窓口でわかるようになり、後日払い戻しの手続きをする必要がなくなる」などがあげられる。
 調査結果では、これらのメリットの認知度は、各項目で概ね2~3割程度。全体としてみると、少なくとも一つ以上のメリットを認知している割合は、約5割弱となっている。また、「医薬品の重複や飲み合わせの問題等がわかり処方を調整できること」のメリットは、年代が高いほど認知度が高いという結果だ。
 また、「問診票に記載する内容が少なくなり手間が減る」については、メリットとして認知していると回答した人の約4割が、実際にメリットを「実感」している。一方、メリットとして認知していると回答しなかった人では、「実感」している人の割合が18%で差があった。
 調査結果を踏まえ、日本医師会常任理事の長島公之委員は、「マイナンバーカードの保険証利用を普及させるには、患者・国民にきちんとわかりやすく丁寧な説明が不可欠になる。現状で生じている不安を払拭する確実な対策を国に求めたい」と述べた。
 全国健康保険協会理事長の安藤伸樹委員は、「診療報酬で評価するということは患者へのサービスが対価に見合わないといけない」と強調するとともに、特に、高齢者でメリットを実感している割合が低いことを問題視した。

 

全日病ニュース2023年7月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 2022年度診療報酬改定に向け本格的な議論始まる|第990回/2021 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20210715/news02.html

    2021/07/15 ... 中医協総会(小塩隆士 会長)は6月. 10日、地域医療 ... 中間年にも薬価調査・薬価改定を行う. ことが決まった。 ... 調査項目 ...

  • [2] 2021.7.15 No.990 - 全日本病院協会

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2021/210715.pdf

    2021/07/15 ... 中医協総会(小塩隆士会長)は7月. 7日、2022年度診療報酬改定に ... 対価であるという大原則を変えるべき ... 初診からのオンライン診療に適さない.

  • [3] 2021.11.15 No.998

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2021/211115.pdf

    2021/11/15 ... いて、「診療報酬は診療行為の対価と. の位置付けがあり、病床確保策 ... 中医協総会(小塩隆士会長)は10月 ... 発達障害の診断における初診時の待機.

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。