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医療区分の精緻化など療養病棟入院基本料の見直しを議論

【中医協総会】医療区分は疾患・状態と処置等を組み合わせ精緻化の方向

　中医協総会（小塩隆士会長）は11月22日、2024年度診療報酬改定に向けて、療養病棟入院基本料をテーマに議論を行った。医療区分の評価を現行の３分類から疾患・状態と処置等を組み合わせた９分類に精緻化することが論点となった。診療側は、病院の経営に与える影響をシミュレーションして提示することを厚生労働省に求めた。
　療養病床における医療区分等は、2006年度の診療報酬改定で、患者特性や医療提供状況等に応じた慢性期入院の包括評価として導入された区分。その後の累次の改定で見直しが行われた。2018年度診療報酬改定では、療養病棟にデータ提出加算が要件化され、包括範囲の検査・処置等の実態を分析することが可能となった。
　疾患・状態としての医療区分と、処置等としての医療区分を組み合わせ医療資源投入量の分析をすると、組み合わせにより、医療資源投入量のばらつきが大きいことがわかった。これを踏まえ、患者特性や医療提供に応じた評価を行うため、医療区分の評価を現行の３分類から疾患・状態と処置等を組み合わせた９分類に精緻化することが論点となった。
　方向性については、診療側・支払側双方とも賛意を示したが、診療側からは、「精緻化に反対ではないが、病院経営に与える影響のシミュレーション結果をみた上で、判断したい」（太田圭洋委員・日本医療法人協会副会長）との意見が出た。
　療養病棟入院基本料「注11」に規定する看護職員配置が25対１で、点数が療養病棟入院基本料２の75％に減算される経過措置については、病院の意向と介護医療院などへの円滑な移行を丁寧に把握した上で、2023年３月31日で廃止とすることを、中医協として概ね了承した。
　療養病棟におけるリハビリテーションについては、療養病棟入院基本料１・２の医療区分・ADL区分で、点数が最も低い入院料Iで算定件数（単位数）が多いとのデータが示された。これに対しては、低い入院基本料を補う診療報酬を得るために行われているのではないかとの疑念が指摘されており、２単位を超えるリハビリテーションの評価が論点となった。
　これに対し、健康保険組合連合会理事の松本真人委員は、「回復期機能を担う地域包括ケア病棟でも２単位を超えるリハビリテーションは少ないことをみても、疑問に感じる」と発言。出来高算定できるリハビリテーションの制限を主張した。日本医師会常任理事の長島公之委員は、「一部の地域では、療養病棟が回復期機能を担っている。また、介護施設ではできない（廃用症候群防止のための）リハビリテーションなどが行われている場合がある」と慎重な姿勢を示した。
　療養病棟入院基本料の中心静脈栄養については、評価に一定の上限日数を設けることと、ガイドラインなどで経腸栄養が禁忌かつ静脈栄養が適応とされていない疾患については、医療区分３ではなく、医療区分２として評価することが論点となった。
　厚労省は、「消化管が機能している場合は中心静脈栄養ではなく、経腸栄養を選択することが基本とされている。また、療養病棟における経腸栄養は、中心静脈栄養と比較し生命予後が良好で抗菌薬の使用が少ない」と説明するとともに、「中心静脈栄養の開始からの日数が長期になるほど、カテーテル関連血流感染症発症の履歴のある患者割合は高くなり、151日以上では31.2％」などのデータを示した。
　これに対して、診療側の委員からは、医療現場の実態を踏まえた見直しを行うべきとの意見が相次いだ。
　日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦委員は、経腸栄養が禁忌で、中心静脈栄養の適応とされる疾患を限定して定めているガイドラインでも、規定は明確ではないと指摘。特に、療養病棟では、患者・家族の意向を含め、相対的に中心静脈栄養が適応と判断される場合があり、経腸栄養に優位性があるとは必ずしも判断できないとした。「上限日数の設定」については、太田委員が「患者の追い出しにつながりかねない」との懸念を示した。
　障害者施設等入院基本料等については、障害者施設等入院基本料２～４の病棟において、慢性腎不全患者を多く受け入れている施設がある。「透析に係る療養病棟入院基本料と障害者施設等入院基本料の診療費の差があることから、障害者施設等入院基本料における透析患者に対する評価を療養病棟入院基本料に準じた評価とすること」が論点となった。支払側の委員は賛成し、診療側からも一定の理解が示された。