全日病ニュース

年頭の挨拶

公益社団法人　全日本病院協会　会長　猪口雄二

　明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、つつがなく2024年の新春をお迎えのことと、心よりお慶び申し上げます。
　昨年６月の定時総会において、４期目となる会長職に再任をいただきました。その際に、組織全体の新陳代謝を諮るための２年間とさせていただき、次の世代に向けての体制整備を進めていきたいと申し上げました。そのことについてはまだまだ道半ばではございますが、会員の皆様方のご意見を踏まえつつ、引き続き取り組んでまいりたいと存じます。
　昨年を振り返りますと、５月に新型コロナウイルス感染症が５類感染症へと移行し、新型コロナについては社会全体が一定の落ち着きを取り戻していく中で、病院経営においては、コロナ前と比較して患者数が減少傾向にあり、さらには食材料費・光熱費をはじめとする諸物価の高騰、政府による賃上げ要請への対応など、非常に厳しい経営環境であったと改めて思うところです。
　さて、本年は、医療機関の経営状況を大きく左右する医療・介護・障害のトリプル改定があり、同じく病院運営に多大な影響を及ぼす医師の働き方改革がスタートします。また、かかりつけ医機能については、医療機能情報提供制度の刷新とかかりつけ医機能報告の創設に向けた検討が進められます。全国医療情報プラットフォームの構築や標準的電子カルテの開発などの医療DX関連の施策も急ピッチで進められる予定です。変化のスピードは年々早まっているように感じます。
　医療提供体制を取り巻く状況が大きく変わっていく中で、我々が取り組むべき課題は引き続き山積しています。全日病としても組織をあげて、日本医師会や他の病院団体と協同し、引き続き様々な課題に対応していく所存です。
　当協会の事業活動の柱でもある様々な研修事業は、コロナ禍を経て、従来の集合形式から多くの研修会がオンライン開催を軸とするようになりました。研修参加者の皆様方からも一定の理解を得て、かなり定着してきたように感じております。今後とも、会員の皆様方のニーズに合った、質の高い研修事業を行ってまいりますので、各種研修会へ是非ともご参加いただければ幸いです。
　また、2019年より開始した技能実習による外国人材受入事業については、昨年、政府の有識者会議において、現行の技能実習制度を発展的に解消し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度が創設されることになりました。現在、当協会ではベトナム及びミャンマーからの介護人材の受入を行っておりますが、引き続き政府の動きを注視しつつ、特定技能制度の活用、新たな制度による受入の準備も並行して進めてまいります。介護人材不足は全国の医療機関で共通の課題であると存じます。会員病院の皆様方には是非とも全日病の受入事業を積極的にご活用いただきたいと存じます。
　昨年10月には、大田泰正学会長のもと、第64回全日本病院学会in広島が「未来の子どもたちへ ～脱高齢ニッポン！～」をテーマとして、多くの会員並びに会員病院職員の方々にご参加をいただき、盛会裏に行われました。本年９月には、京都府支部長である清水鴻一郎学会長のもと、第65回全日本病院学会in京都が「地域医療構想前夜 ～嵐の中の航海　羅針盤を求めて～」をテーマとして、京都市で開催されます。会員の皆様方からの多数のご参加を心よりお願い申し上げます。
　全国の病院数は昨年９月末時点で8,125と年々減少しておりますが、当協会の会員数は、昨年11月現在で2,564を数え、引き続き日本で最大の病院団体でございます。
　新たな時代を見据えて、健全な病院経営、質の高い医療提供体制を構築するために、執行部一同、そしてすべての会員とともに、一致団結して、日本の医療、地域医療を支える病院団体として活動していく所存です。
　本年も、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。