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診療報酬の改定率はプラス0.88%

診療報酬の改定率はプラス0.88%

【厚労・財務大臣折衝】処遇改善の特例対応でプラス0.61%、適正化でマイナス0.25%

 武見敬三厚生労働大臣と鈴木俊一財務大臣は12月20日に大臣折衝を行い、診療報酬改定の改定率などで合意した。2024年度改定の本体改定率はプラス0.88%(国費800億円)で、2022年度改定のプラス0.43%を上回った。プラス0.88%のうち、医療関係職種の処遇改善のための特例対応でプラス0.61%、入院時の食費基準額の引上げにプラス0.06%を用いる。さらに、「生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料等の再編等」によりマイナス0.25%分の効率化・適正化を図る方針も明記した。これらを除いた改定分はプラス0.46%となる。
 薬価はマイナス0.97%(国費マイナス1,200億円)、材料価格はマイナス0.02%(マイナス20億円)で、合わせてマイナス1.00%(マイナス1,200億円)。政府はネット改定率という考え方は示していないが、本体改定率と差し引きすると、マイナス0.12%となる。
 会見で武見厚労相は、「大変厳しい交渉であったが、医療・介護・福祉分野の賃上げを行うための水準が確保できたと思う。この改定率を前提に、処遇改善につながる仕組みの構築に向けて、関係審議会で具体的な議論を深めてもらいたい」との考えを示した。武見大臣が目指した水準との比較では、「賃上げが経済の好循環をもたらすドライビングフォースであるとの考え方があり、それを踏まえ、できるだけ財源を取ろうと頑張った。目標はもう少し高い数字だったが、最終的に、財政当局などとの調整でこのような形となった。結果としては満足している」との感想を述べた。
 日本医師会などの要望にどう応えたかとの記者の質問には、「日医のことは全く気にしないでやった。自分で公平に判断して、正しいと思うことを徹底してやった」と答えた。
 本体改定率のプラス0.88%の各科改定率をみると、医科がプラス0.52%、歯科がプラス0.57%、調剤がプラス0.16%である。これらに「40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の賃上げに資する措置分」のプラス0.28%が含まれるとしている。これは、医療関係職種のプラス0.61%とは別の取扱いである。
 プラス0.61%で実施する特例的な対応により、「看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種」について、2024年度にベアでプラス2.5%、2025年度にベアでプラス2.0%の賃上げが実施できるようにする。
 プラス0.06%で実施する入院時の食費基準額の引上げは、患者負担で行い、原則1食あたり30円だが、所得区分に応じて10~ 20円となる。
 効率化・適正化としてのマイナス0.25%では「生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料等の再編等」を図る。現在、中医協で長期処方のあり方を含め、生活習慣病管理料や特定疾患療養管理料、外来管理加算の併算定をめぐる課題などが議論されている。
 診療報酬に関する制度改革事項にも言及している。具体的には、◇医療DXの推進による医療情報の有効活用等◇調剤基本料等の適正化─に加え、「2024年度に2.5%、2025年度に2.0%のベースアップへと確実につながるよう、配分方法の工夫を行う。あわせて、今回の改定による医療従事者の賃上げの状況、食費を含む物価の動向、経済状況等について、実態を把握する」ことを求めた。
 長期収載品については、選定療養の仕組みを導入し、「後発医薬品の上市後5年以上経過したものまたは後発医薬品の置換率が50%以上となったものを対象に、後発医薬品の最高価格帯との価格差の4分の3までを保険給付の対象」とし、令和6年10月に施行する。
 また、介護報酬の改定率はプラス1.59%(国費432億円)、障害福祉サービス等の改定率はプラス1.12%(国費162億円)となっている。

 

全日病ニュース2024年1月1日・15日合併号 HTML版

 

 

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