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レケンビ点滴静注の薬価収載を了承

レケンビ点滴静注の薬価収載を了承

【中医協総会】最適使用ガイドラインで投与体制、医師要件など明示

 中医協総会(小塩隆士会長)は12月13日、認知症治療薬のレケンビ点滴静注(成分名レカネマブ(遺伝子組換え))の薬価収載を了承した。算定薬価は200 ㎎ 2mL1瓶が4万5,777円、500 ㎎ 5mL1瓶が11万4,443円。原価計算方式で算定し有用性加算(Ⅰ)の45%が適用された。年間薬剤費は約298万円と推計。費用対効果評価の対象にもなった。適用日は12月20日。
 レケンビの効能・効果は、アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度の認知症の進行抑制で、脳内アミロイドβの減少を薬理作用とする。2週間に1回10㎎ /kgを注射。年間26回とすると、体重50㎏の人で約298万円となる。市場規模は初年度が400人(2023年度)、9年度目に最大の3.2万人、986億円に達すると予測した。
 最適使用推進ガイドラインと保険適用上の留意事項通知も了承した。
 投与対象となる患者は、◇認知機能評価MMSE(ミニメンタルステート検査)スコア22点以上◇臨床認知症尺度CDR(臨床的認知症尺度)全般スコア0.5または1─などを満たした上で、アミロイドPETまたは脳脊髄液(CSF)検査により、アミロイドβ病理を示唆する所見が確認されていることが求められる。
 投与施設は、初回から6カ月は同施設とし、認知症疾患医療センターなどアルツハイマー病の病態を熟知し、認知症疾患の診断・治療に精通する医師が責任者として配置され、必要な検査体制などを備えている必要がある。
 治療の責任者として複数名の常勤を求めている医師要件では、日本神経学会、日本老年医学会、日本精神神経学会、日本脳神経外科学会のいずれかの専門医認定を有し、10年以上の認知症疾患などの臨床経験があることや、ARIA(アミロイド関連画像異常)に関するMRI読影の研修を受講していることなどを定めた。
 レケンビは高額薬剤の位置付けで、費用対効果評価の対象。今回、特例的な対応が検討された。具体的には、価格調整において、「ICER が500万円/QALYとなる価格と見直し前の価格の差額を算出し、差額の25%を調整額」とする。ICERは費用対効果を測る指標で、値が低いほど効果が高い。レケンビのICERの値が高いほど減額の調整額が大きくなる。ただし、調整後の価格の下限(引下げの場合)は価格全体の15%以下、上限(引上げの場合)は価格全体の10%以下とした。
 製造販売業者が介護費用を分析に含めることを希望した場合に、中医協で検討する際の取扱いも整理した。

 

全日病ニュース2024年1月1日・15日合併号 HTML版

 

 

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