全日病ニュース
2024年度診療報酬改定の基本方針を決定
2024年度診療報酬改定の基本方針を決定
【社会保障審議会・医療保険部会・医療部会】「人材確保・働き方改革等の推進」が重点課題
社会保障審議会の医療保険部会(田辺国昭部会長)と医療部会(遠藤久夫部会長)は12月11日、2024年度診療報酬改定の基本方針を決定した。基本的視点では、「現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」を重点課題に位置付けた。8日にそれぞれ開かれた両部会で基本方針案を概ね了承し、11日に厚生労働省が公表。13日に中医協総会に報告された。
2024年度改定に向けた「基本認識」では、①物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえた対応②全世代型社会保障の実現や、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化、新興感染症等への対応など医療を取り巻く課題への対応③医療DXやイノベーションの推進等による質の高い医療の実現④社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和―を掲げている。
その上で「基本的視点と具体的方向性」を提示。「現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」を重点課題に位置付けた。人材確保・賃上げ、タスクシェア・シフトのほか、長時間労働の改善に向けた取組みの評価の必要性などを示した。
そのほかの基本的視点は、「ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進」、「安心・安全で質の高い医療の推進」、「効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上」となっている。
医療部会では、日本医療法人協会会長の加納繁照委員が「高齢者救急は生死にかかわる可能性が高く、トリアージを含めた慎重な判断が求められる。必要な体制の確保の重要性を認識して頂いた」と口火を切り、全日病副会長の神野正博委員が、「適切な搬送という文言には、救急搬送時と『下り』と呼ばれる救急処置が終わった後の他施設との役割分担が関係している」と強調した。
一方、医療保険部会に日本医師会副会長として出席している全日病会長の猪口雄二委員は、「今後、中医協において基本方針、特に基本認識や基本的視点の重点課題を踏まえ、国民が安心できる医療提供を実現できるよう議論を進めて頂きたい」と要請した。
全日病ニュース2024年1月1日・15日合併号 HTML版