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チーム医療推進のための看護業務検討WG 特定行為追加案を検討。指定研修プログラムで種々の意見

チーム医療推進のための看護業務検討WG
特定行為追加案を検討。指定研修プログラムで種々の意見

 7月4日のチーム医療推進のための看護業務検討WGに事務局(厚労省医政局看護課)は、(1)特定行為に指定する行為案として残された項目の検討結果、(2)指定研修の枠組み案を提示した。
 同WGは、特定行為に指定する行為について1月18日の会合で29項目に絞り込んだ案で合意しているが、27項目に関しては「要検討」とされ、前回(5月13日)の会合で、前島構成員ほかに「要検討」項目の検討が要請されていたもの。
 検討作業は関係団体にも意見を聞いた結果をこの日示した。その結果、27項目のうち13項目が特定行為に該当するとし、13項目については非該当、1項目は判断を保留した。
 非該当14項目のうち4項目は「主として臨床検査技師が当該行為を行なっており、チーム医療の視点から看護師の特定行為とすることは適当ではない」と判断。4項目は「看護師一般が医師の包括的指示に基づき当該行為を実施している」ことを根拠の1つとした。
 その4項目のうちの2項目は「WHO方式がん疼痛治療法等に基づく痛みの強さや副作用症状に応じたオピオイド(または非オピオイド・鎮痛補助薬)の投与量調整」。
 判断が保留された項目は「大動脈バルーンバンピング(IABP)チューブの抜去」および「IABP離脱のための補助頻度の調整」で、「抜去時の大出血の可能性があり侵襲性が非常に高いことから、行為名、行為の概要を変更する」との意見が付された。
 神野正博構成員(恵寿総合病院理事長・全日病副会長)は検討結果に賛同の意を示した。その上で、「特定行為は、医師の包括的指示の下で、指定研修を受けた看護師がプロトコルに基づいて実施するというものであり、指定研修を受けない一般の看護師も医師の具体的指示の下で実施できる。このことを特定行為リストには必ず明記してほしい」と注文をつけた。
 多くのメンバーも検討結果を肯定的に受け止めたが、一部の構成員は、非該当とされた「オピオイド(または非オピオイド・鎮痛補助薬)の投与量調整」と判断保留となった「IABPチューブの抜去」を特定行為にすべきとの見解を示したため、この2点めぐって様々な意見が交わされた。
 前者については、特定行為とした場合の在宅医療への影響を懸念する声が多く示された。その一方で、「この行為は在宅への影響をおもんばかって外した。しかし、在宅、緩和ケア、疼痛外来と、臨床場面によって意味は違ってくる」として、判断の難易度等に留意すべきという意見も示された。
 この意見に対しては、「ここではWHO方式による疼痛管理がテーマであり、新たなレベルの行為を意味するものではない」という見解も表わされた。
 IABPについては「抜去と離脱調整を一体にした上で特定行為にしてはどうか」という提案が示され、複数の構成員から同意する声があがった。
 特定行為に関して、事務局は、この日の案を基に「さらに幅広く関係団体の意見を募り、そうした見解を踏まえてWGで結論を出す」意向を表明した。
 指定研修に関する枠組み案は、特定行為を一定の領域と行為群に区分した上で、①研修機関を領域別に指定する、②研修機関は複数の領域を担うこともできる、③受講者は領域内行為群の一部を受講することもできる、というもの。
 併せて、看護師籍に登録する際に、修了した指定研修の領域とともに行為群を明記する考えを明らかにした。
 領域の区分は、おおまか、急性期、亜急性期、長期療養・在宅からなり、研修プログラムは、共通領域と区分ごとの行為群から構成される。行為群によっては複数の領域で重複して教えられることになる。
 神野構成員は、亜急性期とみられる領域の考え方について、「亜急性期の機能と患者像は、現在、医政局と中医協で議論が進んでいる。その内容を踏まえた領域設定であるべきではないか」と、整合性の確保を求めた。
 他の構成員からは、「コアの研修と行為群の研修の比重はどうか」「認定看護師等が受講しやすいプログラム構成となるか」などの意見が相次いだが、事務局案ではイメージが十分つかめず、手探りの議論となった。
 事務局は、この日の意見を踏まえ、次回会合に、より具体的な指定研修の組み立て案を提案したいと釈明した。